憤怒

 一時の憤怒で人はこんなにも過酷な人生を送るのかと、モザイクの向こうに見える老人が、口に出す言葉で知らされた。
 90歳を過ぎた老人が、40数年前からずっと刑務所の独房で暮らしている。僕らの学生時代と同じような6畳一間?。畳の部屋には、ほとんど物がない。何もない部屋で、半世紀を過ごすことが出来るのか。いつから痴呆になったのかわからないが、僕なら1月も持たずに発狂している。
 どうして入ったのとレポーターが尋ねると、ここだけは覚えているのか、人を刺し殺したとはっきり答えた。どうして刺したのと尋ねると分からないと答え、仕事が嫌だったんかなあと答えた。漠然とした理由で人を刺殺したのか。殺した後の顛末を少しも考えなかったのだろうか。1日家にいろと言われてもイライラしてくるのに、それが何十年も、まさか耐えられると思ったのか。いやいや何も考える余裕はなかったのだろう。逆上を冷ます理性などなかったのだろう。それにしても何たる代償。被害者からしたらそれでも許せないだろうが、地獄以上の地獄が無限に続くとは思わなかったのだろう。
 一時の憤怒で死ぬまで監獄。ゆめゆめ人様は傷つけまい。

安倍元首相“ねっちり反撃”に隠しきれない焦燥感…岸田首相に路線継続強要の悪あがき
いらいら…イライラッ(左から安倍元首相、岸田首相、麻生副総理)/(C)日刊ゲンダイ© 日刊ゲンダイDIGITAL いらいら…イライラッ(左から安倍元首相、岸田首相、麻生副総理)/(C)日刊ゲンダイ
世論が真相解明を求める数々の疑惑にはダンマリ。そのくせ、岸田首相に対して異様に多弁なのが安倍元首相だ。安倍離れを加速させる岸田首相にあれこれ注文をつけ、路線継続を強要。見ている方が恥ずかしくなるほど、存在感の誇示に躍起だ。
安倍元首相は今月上旬に出演したBSフジを皮切りに、各局の報道番組をハシゴ。26日放送のBSテレ東番組では、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」をコキ下ろした。弱肉強食の新自由主義から転換し、「成長と分配」を目指す方針について、「根本的な方向はアベノミクスから変えるべきではない。市場もそれを期待している」「社会主義的と捉えられると市場もマイナスに反応する。成長から目を背けると思われないようにしないといけない」などと、持論を展開。安倍政権の7年8カ月は成長と無縁だったのに、よく言うよ、だ。
安倍元首相が大見えを切った「GDP600兆円」という無理筋の目標を実現するため、国の基幹統計である厚労省の「毎月勤労統計」や国交省の「建設工事受注動態統計」の書き換えや二重計上が横行。アベノミクスのマヤカシを「成長」と信じ込んでいるのは安倍元首相だけだ。
北海道新聞(26日付朝刊)のインタビューでは、デタラメな北方領土返還交渉を正当化。4島返還を棚上げして2島に後退させた揚げ句、状況を1ミリも動かせなかったにもかかわらず、「(2島返還の)路線を考え直せば、日ロ関係は100%後退すると思います。日本は信用できない、また元の主張に戻ったのかということになりますよ」と強弁だ。
“安倍封じ”で内閣支持率上昇
憲政史上最長政権を率いた元首相の威厳もヘッタクレもなく、ギャンギャン騒ぎ立てているのは、岸田首相が“安倍封じ”にカジを切ったからだ。
「安倍政治とは異なる方向性を示すと、内閣支持率が上昇する。この傾向は顕著ですから、利用しない手はないでしょう。岸田総理が憲法改正や敵基地攻撃能力の保有に意欲を見せているのは、米国を意識してのこと。安倍元総理とは別次元の話です」(与党関係者)
官邸も自民党も牛耳ろうとした「萩生田官房長官-高市幹事長」という安倍元首相の人事案は蹴られ、森友学園をめぐる公文書改ざん訴訟はマサカの「認諾」で終結。世紀の愚策と揶揄されるアベノマスクも廃棄の運命となった。岸田首相から事前に電話で処分を伝えられた安倍元首相は、「ああ、そう」と言葉少なに応じたという。
イライラと焦燥がにじみ出ている。来年はついにアベノオワリの始まりかもしれない

 

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