餃子

 夜の冷たく美味しい空気をいっぱい吸ったウォーキングを終え、自宅に入った瞬間、懐かしい臭いがした。そうこれはまさしく、ベトナム人たちに貸していた寮の玄関の戸を開けた瞬間襲ってくる臭いだ。いやいや、風向きによっては、夕食時にしばしば近所を覆っていた臭いでもある。臭いと言う字を用いたのは、僕の嫌いな食べ物の臭いだからだ。好きな方には申し訳ないが、匂いとは書けなかった。
 邑久町に餃子の店が開店して、2回その餃子をお土産にくれた方がいる。それこそニンニク一杯が売りみたいで、確かに調理したときにはその臭いが換気扇から出るはずなのに、家の中に十分籠る。しかし、ニンニクだらけにしては、不思議と食べる段にはそれが気にならない。それどころかとても美味しい。おまけに顔から汗が噴き出て、ニンニクの薬効を感じさせられる。さすがに昨夜はもう冬だから汗が噴き出ると言うことはなかったが、それでも顔は火照る。
 戸を開けた瞬間迎えてくれる臭いは、僕が10数年付き合った臭いだ。ベトナム人はすべての料理にニンニクを使うみたいで、寮や近所はさすがに臭かったが、不思議とニンニクの臭いを人間から感じたことはない。日本人より体温が高いから代謝がいいのだろうか。
 寮を取り壊して、もうあの臭いが町中を漂うことはなくなったが、もし僕と似たような嗜好の人がいたら、不快だっただろうなと今になって思う。皮肉にも、10数年の思い出は、僕の一番苦手な臭いで甦る。

 

特ダネ!安倍晋三逮捕包囲網。日大田中逮捕の裏にいる政治家達。検察が文部科学省を通じて日本大学へ被害届を出すよう指導!その狙いは・・・!?元朝日新聞・ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊 - YouTube