生贄

 実家に帰っていて命を拾った。何を感じていたのか、その判断がなかったら今頃は、悲しみの中。
 お嬢さんに漢方薬を作る機会はあまりなかったが、薬局製剤と言う特製の鼻炎の薬はしばしばお母さんが取りに来る。ほかの薬ではあまり効果がなく、昔から許可が出ている古典処方が彼女には合うらしい。
 そんな彼女は介護職員だ。だからコロナのワクチンも優先度が早く、2度目のワクチンを打った。1回目が思いのほか痛かったので、2回目に打った時は、会場で規定の時間をすごしたのちアパートに帰らずに、念のため実家に帰った。実家は1時間くらいの距離だと思う。
 そこで急変して意識を失った。救急車で運ばれ一命をとりとめたが、もしアパートに帰っていたらどうなっていただろう。お母さんは命がなかっただろうと言っていた。
 彼女の出来事がワクチン接種による副反応にカウントされるのかどうか知らない。原因を究明するのかどうかも知らない。実際40人近く接種後に亡くなった方も、ほとんどが因果関係がはっきりしないなどと、報告されているだけだ。因果関係がはっきりしないなら、実際の死因は何なのかと疑問を持つが、死因は発表されない。要は調べていないのだろう。調べる気もないのだろう。病気で死ぬのならわかるが、病気を予防するもので死んではいけないだろう。従来なら7年くらいかかるワクチンの開発が、1年でできるのだからいつから準備していたんだと不思議でしょうがない。
 ワクチンは元気な人が打つものだから、一人でも死んではいけない、そんな文章を読んだことがあるが、世界中で実際にはどれくらいの人が死んでいるだろう。いつからこんなに人が亡くなっても許可されるようになったのだ。もはや庶民は、巨万の富のために、差し出される生贄状態か。

 

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