備中鍬

 数人のベトナム人女性が、一斉に「キャーッ」と声を上げ四方に飛び散った。僕はすぐに蛇が出たのだなと思った。案の定黒色と白色が混ざった長い蛇が、瓦の下から出てきたらしい。
 できれば、来年ベトナム人が寮を出た後に、牛窓の人に喜んでもらえるものを作りたいと思っている。そのために今から少しずつ荒れ地を整地したいなと思っている。イノシシが出没するような土地だから、歩けば竹や草の茎が足底に突き刺さりそうになる。シルバー人材センターの方に高く伸びた草を刈ってもらったら、奥のほうにいつの時代に捨てられたのだろうと思うような瓦が山に積まれているのを見つけた。それを業者に頼めば結構な金額を取られるという、庭園設計士の助言に従って、手作業で片づけてやろうと思って、こんな時にはめっぽう力を発揮してくれるベトナム人たちに頼んだ。
 コロナで牛窓から出てはいけないと見えない牢屋に入れられている彼女たちは、気分転換を兼ねて気持ち良く引き受けてくれ、7人が手伝いに来てくれた。
 小山に積まれ、土の中に埋もれている瓦を1枚1枚手で取り出し、かごに入れてある場所まで運び出す作業だが、楽しく会話しながら嬉々として作業を続けてくれた。蛇で飛び散った後も、同じ作業を続けてくれ、完全に瓦はなくなった。2時間半、7人が頑張ってくれた。
 僕は、彼女たちが集合してくれるまでに西大寺に行き、備中鍬や作業用のゴム手を買い、お礼にジュースと一つ工房のおいしいパンを用意していたが、その程度のお礼では済まないと思った。コロナ以降、京都にも広島にも連れて行ってあげれなかったし、和太鼓のコンサートも第九のコンサートにも連れて行って上げれていない。せっかくの日本での文化的な体験を十分させて上げていない。申し訳ないと思いながら、力仕事などできない僕には、彼女たちに頼むしかない。
 自分たちが手伝った場所がどのように変わって、地域の方々に役立てるか見てほしいが、その時はもう全員帰国している。段々畑の山に戻っているのか、都会でまだ働いているのかわからないが、縁あった異国の人々の幸せを祈らずにはおられない。

 

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吉村洋文大阪府知事 珍策連発で誰が呼んだか「ナニワの小泉進次郎

 新規感染者が連日1000人を超える大阪府で、吉村洋文知事(45)への批判が止まない。連日のテレビ出演には「そんな時間があったら仕事をしろ」と声が上がり、府内の小中高校に部活自粛を求めれば「子供にばかり無理を強いるな」とブーイング。2月に緊急事態宣言解除を1週間早める“判断ミス”をして以来、強い逆風が吹き続けている。

 そんな吉村知事に、最近ネット上でこんな“異名”が付けられた。「ナニワの進次郎」──。

 進次郎とは、もちろん小泉進次郎環境相(40)のこと。若々しく端正なマスクに七三分けのヘアスタイル、強い目力──ルックスは似ているような、でも似ていないような……。

 実際は、大阪府民にとっては“ネガティブな共通点”が渾名の所以の様子。大阪市で飲食店を営む50代男性が言う。

「やっぱり“言葉の軽さ”やろ。こっちは営業自粛で客が来ないので来月の生活すら不安なのに、吉村はんは『酒なし営業をやったら』みたいに、深い考えもない適当な案をぶち上げたりする。去年、イソジンでうがいをするとコロナの陽性率が減るって言うたのにも呆れましたわ。進次郎はんも“プラスチックのスプーンを有料化する”ってぶち上げたり、国連で“気候変動問題はセクシーに”とか言って恥かいたり……。要はテレビや新聞で見出しになるような言葉を言おうと狙っとるだけ」

 人気が先行し、その反動で失望の声が増えてきたことも同じだ。大阪在住のジャーナリストで、元読売新聞大阪本社社会部記者の大谷昭宏氏が言う。

「2人とも人気があり視聴率が取れるため、持ち上げられてきた。それを実力と勘違いしてしまったわけです。吉村氏は橋下徹・元府知事を、進次郎氏は父親の純一郎・元首相を形だけマネしている“劣化コピー”のようなもの。コロナ禍が真実を炙り出した」

 両者に汚名返上の機会は訪れるか。