渦中

 ある大阪の女性から、いつもの漢方薬の注文電話をいただいた。お世話している症状はかなり良くなったが、このところ不安で胸が痛くなったり動悸がすると訴えられた。理由はやはりコロナだ。ダントツ多い大阪だから、まさに渦中のど真ん中。不安なのもうなづける。
 サラ金武富士の顧問弁護士だった男が大阪府知事をしているのだから、弱いものに目は届かない。むしろいかに餌食にしてやろうかと虎視眈々と狙っている。何を目的に知事になったのか知らないが、維新から出ているところを見ると、庶民を支配することが目的だろう。大阪の人ももう少し考えたほうがいい。知らない間に戦前の日本のように、命まで貢がされる。
 女性にはいつもの漢方薬のほかに、頓服で不安や動悸などを即座にとるような漢方薬を送った。本来なら元気で、大いに社会に貢献している方がここまで追いつめられる。汚部 スカ、汚し村 汚池、誰に殺されたか覚えておくべきだ。

菅訪米で報じられなかった二つの「残念なこと」 空しく響く「ジョー&ヨシ」 古賀茂明
菅義偉総理が訪米を終えて帰国した。
 朝日新聞デジタルによれば、菅総理は同行記者団に、「たたき上げの政治家ということで、共通点がいっぱいある」「家族を大事にする方で、執務室に写真がいっぱいあった」「私と似たような感じも受けた。バイデン氏もそう思っているようだ」と語り、さらに、菅氏は話に夢中で出されたハンバーガーに手をつけられなかったと言って、「一挙に打ち解けるというか、緊張がまったくなく出来た。これからも付き合い続けていける」と手応えを語ったとのことだ。
 各社ともほぼ同じような提灯記事を書いているが、よく考えてほしい。通訳を介しての20分は、実質10分。ほとんど何も話さないで終わったということだ。
 現に、記事を見ると、菅総理の話の中に、バイデン氏の言葉は出てこない。たたき上げの政治家で共通点がいっぱいという話など、いずれも単なる菅氏の思い、推測、感想でしかない。
 20分のハンバーガー会談というのもあまりに慌ただしい。30分程度には延びると予定していたのに、話が弾まず20分で切り上げというのが真相ではないか。
 「緊張がまったくなく」というのもポイントだ。普通は、出されたハンバーガーを見て、「私はハンバーガーが大好き」くらいのおべんちゃらを言って、思い切り大きな口を開けて頬張り、うまい!と叫ぶくらいのことはするだろう。実際は、緊張でハンバーガーのことなど考える余裕もなかったのだろう。
 実は、菅氏が訪米前にテレビ東京WBSのインタビューで、間違って、「緊張」していると口走った。キャスターがびっくりして、聞き返したので、失態が目立ってしまった。私も見ていて、本当にびっくりした。
 バイデン氏に会う菅総理は、大親分に会いに行く下っ端組員みたいなもの。緊張したと言うと、それがバレるので、あえて、「緊張」しなかったと強調したのだろう。
 今回の訪米で報じられなかったことで、もう一つ残念なことがある。
 どうして「ジョー&ヨシ」の関係を使って、アメリカのワクチンを日本にすぐに譲るように交渉できなかったのかということだ。共同声明に「防衛力強化を決意」と書いたのは、米国武器を爆買いするという誓いの言葉。それとの引き換えにワクチンをもらうくらい安いもののはずだ。アメリカは、数億回の余剰分を含め人口比2倍のワクチンを発注している。それを、メキシコなどに提供する。
 さらに、韓国KBSテレビによれば、韓国政府はアメリカに「ワクチン・スワップ」を要求した。昨年、第1波のとき、韓国は、アメリカに検査キットとマスクを大量供給したが、そのお返しに、今回は韓国に米国がワクチンを供給し、将来、韓国がその分を米国に返すというスワップ取引のアイデア。かなり強気だ。
 武器爆買いや南シナ海での米軍の役割の肩代わりというとんでもない重荷を背負わされる日本に対してワクチンを融通しろという提案もできないのが「ジョー&ヨシ」の関係なのか。ちなみに、菅政権は、韓国の構想実現を全力で妨害すると私は見ている。
ハンバーガーもワクチンも、日本がアメリカの属国だという証し。とても残念なことではないか。
週刊朝日  2021年5月7-14日号

■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など

 

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