ちょうど50年前の今頃、僕は二日酔いと闘いながら、東海道線と山陽本線を乗り継いで、岐阜から岡山まで帰りました。同じ野球部で同じアパートの加古川出身の同級生と一緒でした。前夜の野球部のコンパで飲みすぎ、頭痛と吐き気と闘いながらの初めての帰省でした。半世紀前のことですが、電車の中の風景と、加古川駅で降りた友人の姿だけは覚えています。
当時はまだ「帰省はするもの」と言ううぶな固定観念にとらわれていましたから、無理を押しての帰省だったのです。もうその時には僕は選択した道が自分にとっては「合わない」道だと気が付いていて、以後正月以外は帰省しない、出来ない5年間を過ごしました。
今の世相を僕は知りませんが、当時は僕のように大学に入ってからどんどん落ちていくような人間が多かったです。薬科大学に入り、読んだ本がマルクスやレーニン。吉本隆明や高橋和巳。読まなかった本が薬の本。唯一5年間のまともな部分を引き出せるとしたら、本を読んだこと。まるで睡眠薬のように。
薬学が苦手だった僕の漢方薬を飲んでくださっている多くの方に感謝です。まるで都落ちのように牛窓に帰った僕に居場所を与えてくれたのは、危ういところまで落ちた経験、下から見上げる視点を得たことです。悶々と過ごした青春後期に得た価値観がぶれる必要がなかった田舎の生活がその後の僕を支えてくれました。
どこにでもいる凡人の「それなり」の波乱に満ちた人生です。新たな船出をされたお嬢様がどんな景色をご自分の人生というキャンパスに描くのでしょうね。絵具を溶く水の1滴にでもなれたら幸いです。
僕が今一番正しいと思って仕入れている情報は「一月万冊」からです。ユーチューブで見つけることができます。
今日作って送りました。
ヤマト薬局