永遠

 今朝の毎日新聞の時代の風という寄稿は、総合研究大学院の学長、長谷川真理子先生のものだった。
 要点をまとめるほどの知識は僕にはないから、痛快な結論だけを紹介する。
 コンピューターなどの研究者は、自分が永遠に生きたいなどと考えている人がいるみたいで、自分の脳に蓄積された情報を全部コンピューターに移し、ロボットの体を動かすことで不老不死を実現するらしい。
 一方生物的なアプローチも考えられていて、老化という不具合を取り除くことによって、よぼよぼのまま生き続けるのではなく、およそ30歳くらいの状態をキープできるようになるらしい。
 先生の見るところ、若さを保って永遠に生き続けたいと思うのはほとんど年老いた男らしい。
 限りある人生には悲哀がつきもので、あきらめを伴う希望、すなわち未来に託すという希望がありえた。それを知恵というらしい。
 永遠の命の願望が年老いた男に限ったものとしたら、それで人類を変えてほしくない。「嫌な奴も、やがては滅びる、ということがなくなる社会を私は望まないから」
 このまとめが痛快だ。卑近な例を挙げると、汚部の長期の居座りで国は貧しくなり、国民の高潔さも失われた。最低の7年間を多くの国民は強いられた。打ち首獄門でこの世から消えるべきでまだそれはかなってはいないが、少なくとも目の前から消えた。同じ穴の狢のスカが出てきたが、彼もまたやがては滅びる。こうしたことがない社会を僕らは望んではいない。先生の言われるように。