山本太郎には申し訳ないが、彼のポスターを床に敷いて、その上に寝転がったり、膝をついて座ったりと、本来の目的とは違った使い方をさせてもらった。
漢方薬を取りに来た女性が、本来のお世話している症状とは異なる訴えをした。すでにあるトラブルで漢方薬を2種類飲んでいただいているために、それ以上増やしたくないからリハビリで改善してもらうことにした。
百貨店で働いている方で基本的には立ち仕事だ。以前は肩こりだけだったらしいが、最近になって背中がかなり痛むようになった。恐らく体にひずみができて筋肉が無理をしているのだろう。
背中の筋肉の緊張を取るのにも運動は必須だ。そこで僕の数少ないレパートリーから何種類か紹介したいと思ったが、一連の運動は8種類で成り立っている。8種類の動きを記憶してもらうのはおそらく無理だろうから、絵に書いて渡そうかと悩んでいたら、彼女が「動画を取ります」といとも簡単に言ってのけた。一瞬霧が晴れたと言うかほっとした。背筋痛を改善して日常業務を楽にこなしてほしいから、どうしても覚えて実行してほしかったが、絵を描くことが苦手な僕には結構負担だった。描くには描けても伝わらない可能性も十分ある。携帯電話を持ったことがない僕にはまったく発想できない手段だったが、彼女には当たり前すぎる行動なのだろう。
おかげで山本太郎の助けを借りながらすべて実演することができた。薬局に入って来た人は白衣を着て寝転がっている僕を見て少しばかり驚くが、結構やる機会が多いから、見慣れている人もいる。他人に教えているところをちゃっかり盗み見して日常のケアに生かしている人もいる。
まあ人目は一向に気にならない僕だから、ただただ文明の助け舟に感謝、感謝だった。
https://www.youtube.com/watch?v=PhJIkUEq0Mw&list=RDCMUC_Q8cHoJnhNp6GHPkPOoSgw&index=2
