頂き物

 本当にありがたい。丹精込めて作った大きなスイカを、10個近く下さるのだから。ただこれを一つの家庭で食べきることは出来ない。いくら果物好きがいても無理だろう。下さるほうも、恐らくそこは織り込み済みだろう、せっせと近所に配る。  その折込どおり、食べてもらえる人に配った。我が家は2個もあれば数日楽しむことが出来る。小さく切って冷蔵庫に入れておいてもらえれば、喉が渇いたときに食べる。スイカは身体を冷やすのにも、口の渇きを癒すのにも最適だ。すぐに目的が達せられるから、薬並だ。古人もその効能を大いに利用してきている。  一番なりとか何とか言われるように、今のは棚が全くなくて充実しきって美味しい。これが夏中維持できればスイカの需要はもっと伸びるだろうと思うが、2番なり、3番なり(こんなものあるのかどうか知らないが)になるにしたがって、食べる気がしなくなる。だから今頂くのが一番ありがたい。ただ、我が家になど持ってこずに、市場に出してくれればいいのにとも思う。1個だけ下さって残りを出荷すればそれは売り上げに上積みされるだろうに、気前がいいのが負担になる。炎天下で老いた百姓が腰を曲げて作業している姿を見ると、そう思わずにはおれない。  今日は別口でも頂き物が多かった。トマトにきゅうりに、トウモロコシに、僕が知らない野菜に・・・親切がありがたい。何気ない日常の光景に救われる。