スカイツリー

 隔週、隣の県の新幹線が止まる街から来て下さる家族がある。お子さんが学校から帰ってから、家族揃ってきて下さるから結構牛窓に着くのが遅い。昨日も寄り道をしたらしく薬局に来たのは日が暮れてからだった。ただ都会の方だから、僕らが感じる時間帯の印象とは趣は違うだろう。牛窓のその時間帯はもう車も時々しか通らないから、街の人から見れば深夜かも知れない。その様な問いかけをしたら、家の前は県道だからさすがに交通量が多くて、結構音がうるさいと教えてくれた。  だがしかし、その言葉には引っかかる。県道だから交通量が多くて?「ここも同じ県道なんですよ」と説明するとお母さんは笑ったが、表情の陰には申し訳ないようなことを言った後悔みたいなものも少しだけ隠れていた。「都会の人から見たらここは村道か?」いやいやそれくらいの差ではすまないから「ここはあぜ道か?」とたたみかけて、みんなで大笑いした。関西の方達だからこの様なボケとつっこみはほとんど反射的に出来て、いつも楽しい時間を過ごさせてもらう。  でも実際は僕の薬局がある通りはあぜ道に近いだろう。自称広島で言うと八丁堀に匹敵するほどの自負はあるし、大阪で言うと通天閣、東京で言うと銀座くらいには思っているのだが、所詮都会の人からしたら手八丁か脳天閣か頓挫くらいにしか見えないのだろう。もっともこの夏はスイカ釣りーで稼ごうと目論んでいるのだが。