夏休み

 貴女は自分を卑下しています。最悪なヤツではありませんよ。とても素敵な女性だと思っていますよ。貴女が特別他の人と変わった個性の持ち主とも思われません。悩み多き青春期を、鬱々と暮らしているごく普通の青年です。中には晴れ晴れと暮らしている人もいるのでしょうが、その中に加わる必要もありません。どちらかというとそちらの方がまれでしょうから、かえって居心地が悪いかもしれませんよ。楽しそうに振る舞う必要もありません。根暗なら根暗に徹すればいいのです。自然が一番。一緒にいて楽しくない人と一緒にいる必要はありません。その人にとって貴女が必要にないなら尚更です。貴女が必要な人なんて、一生の内で果たして何人出てくるでしょう。職業的な関係は別として、そんな人、果たしているでしょうか。僕は2人しかいませんよ。10年に1度も会わない関係ですが、心の中では30年以上一緒に生きています。一緒に喜んだり、一緒に悲しんだり苦しんだりする関係ではありません。利害も全くありません。恐らくよく似た価値観を、同じ道を歩いて共有したという喜びだけです。いい悪いは別として、一生これで行くぞと言う価値観さえつかめたら青春に優劣はないと思います。青春などと言う言葉に惑わされずに、淡々と生きていったらいいです。恐らく今の貴女より数段怠惰に、無気力に、無目的に過ごした僕でも、その後は何とか生きる場所を見つけてやってこれたのですから、焦ることなく、まるで傍観者のように、巷で繰り広げられる茶番劇を観察し、したたかな価値観を作り上げてください。悪しき先輩としての助言です。僕らはテレビドラマの主役でも端役でもありません。ブラウン管のこちら側で、みそ汁をすする人間です。決して格好良くは生きていけません。、ささいな喜びや悲しみを織りなして生きていくだけです。貴女が閉じこもっている部屋にも、人生を紡ぐ機織りの音は聞こえますよ。 ヤマト薬局