娘達へ

 今、貴女達の眼下には何が広がっているのでしょう。大都会の密集した建物群でしょうか。或いは太古から受け継がれた深い山々でしょうか。それとも光り輝く太平洋なのでしょうか。それとも雲の上を飛んでいるのでしょうか。いずれにしても僕はいつもの場所でいつもの建物の中で、いつものように仕事をしています。ただ、貴女達がこの国を発つ時間には、空を見上げてみようと思っています。3年間の数々の思い出を封印するために。何故なら、貴女達には新たな旅立ちです。過去は思い出の中に閉じ込めて、これからも力強く生きてください。  貴女達の国は、これから発展します。そのことが良いことか悪いことかを、貴女達はこの国で3年間見てきました。良いところは生活の中に取り入れ、合点がいかなかったことは克服してください。この国では、失ってはいけないものを失った人達も多く見かけたのではないでしょうか。経済行為のために来日した貴女達ですが、たかが物のために生きていくのは空しいです。お金で買えないものにこそ価値があることを、この国で悟りませんでしたか。たかが物を手に入れるために、多くのこの国の人は、時間や健康や人間関係を犠牲にしています。その行為に価値があるかどうか考えてみてください。恐らく貴女達が日々感じていた「違和感」の中に真実は隠れているのだと思います。  お父さんは、貴女達と知り合って、正に沢山の子持ちになりました。まるで本当の家族のように、いやもしかしたら本当の家族以上に大切にし合えたように思えます。お父さんは貴女達と永久の別れになるようには感じないのです。いつか又、会おうと思えば簡単に会えると思いますし、ふと偶然会うなんてこともありうるのかなと楽天的に考えています。地球がどんどん小さくなったおかげでしょうか。  3年間で多くのものをお父さんに与えてくれてありがとう。毎日を一所懸命に生きようとした動機の多くの部分を貴女達に支えてもらったような気がします。若いから元気でいることは簡単でしょうが、不意のトラブルには気をつけてね。   いつか又・・・、お父さんの愛する娘達へ!

〇〇さん・・・・・今以上に、知的に好奇心を持って生きてください。 〇〇さん・・・・・おばあちゃんにとても優しくしてくれました。家族を代表してお礼を言います。 〇〇〇ーさんへ・・お母さんが、あなたの社会問題に対する関心を褒めていました。宗教心にも感心しました。仏様に祈る          姿は崇高でした。