先天の精

 東洋医学での生命は両親から授かった生命力が「精」と言う形で胎児の体に宿る。これを「先天の精」と呼び、腎に蓄えられ、一般に「腎精」と呼ばれる。腎精は人間の成長に大きく関与していて、人間が二十歳前後にその働きは最高潮になり、腎精の働きはその後段々と衰え、老化と深いかかわりを持ってくる。先天の精は、そのままでは消耗してなくなってしまうので、絶えず補充しなければならない。僕達が毎日食べている食事(これから得られる力を後天の精と呼ぶ)から、腎精は補充されているので、食養生は健康で長寿をまっとうする為には欠かす事は出来ない。東洋医学では、僕達が健康に生きられるということは、自然と調和が取れているからだと考える。日本人は日本と言う国土、環境と調和をとることで健康な人生を送ることが出来る。食生活だけでなく、精神生活も同じことが言える。本来戦闘的でない農耕民族が、欧米の狩猟民族の価値観を無分別に導入して、他人を蹴落としてでも生きていく姿は似合わない。黄色の肌を持った人間が、心の中まで白くはなれない。