威嚇

 プリンとポッキー、どちらが美味しいか?プリンとポッキー、どちらが好きか?プリンとポッキー、どちらが人気か?比べているのではない。プリンとポッキーが共存出来るか、そこにいた者たちが固唾をのんで見守っていた。
 生後2か月ごろ我が家の倉庫で助けを求めていたプリンは、それ以来獣医に行く以外は外に出たことがない。だからプリンにとって生き物は、夏の間ミニ狩りを楽しませてくれた虫たちと、3階のベランダに遊びに来る雀くらいしかいない。だから息子家族が連れてきたポッキーは、ほとんど初めて見る動物だろう。犬種がトイプードルだから我が家のプリンと同じくらいの大きさだ。猫は例えば僕などを大きな猫と見るみたいだから、トイプードルだったら正に姉妹くらいにしか考えないのか、あえて威嚇することもなく、寧ろいつもよりおとなしく妻に抱かれていた。
 ポッキーの方はと言えば、いつものようにしっぽを激しく振りながら相手かまわず懸命に近づこうとする。嬉しくて、誰にでも激しく吠えながらさばりついて行く犬だから、相手が猫でも「同じか!」と驚いたが、その激しいアプローチにもプリンは動じなかった。さすがに抱っこしている妻の足を登ろうとしたときにプリンが一言「シャー」の威嚇をしたが、それ以外はクールに見下ろしているだけだった。
 素人の僕にはインプットされている景色があり、犬猿の仲も、犬猫の仲も同じと思っていた。ところが想像をはるかに超える穏やかな空気が醸し出され、思わず僕はプリンを褒めた。
 我が家の倉庫に辿りつく2か月、どこでどのように暮らしていたのだろうと、思わず思いを馳せた。トラを彷彿させる凶暴な姿を見せるものとばかり思っていたから、穏やかな雰囲気が愛おしく思えた。
 地域猫の過酷な生き方を耳にすることが多いが、せめて1匹でもそこから救って上げれたことが、この歳になってできた小さな地域貢献だ。いろんな場面で受け身の立場に立たざるを得ない年齢になり、いずれ僕達も保護猫になる。プリンが見せた意外な態度を教訓に、今日も1本、チュールをゲットするぞ。

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