偶然

 面白い偶然だ。ペット3姉妹と名付けていいくらいの3人の女性がやって来た。
一人目は1時間くらいかかるところから来てくれたのだが、自分の相談がすんでいざ会計の時から妻と話が始まった。何でも飼っているトイプードルの膝関節が脱臼するような病気になり、色々思案をしているみたいで、ある有名な医院で手術してもらえば、両足で100万円かかるそうだ。ただ100万円もかかることから当然慎重になっていて、何かいい方法がないか、その医院が本当に力があるところなのかを尋ねられたのだが、その答えは僕にはない。ただ、保護犬の役に立ちたいと漢方の勉強に来ていた薬剤師がいるから、彼女に連絡をするということで帰ってもらった。本当はもう少し話していたかもしれないが、二人目の女性が入って来たから、気を利かせて帰って行ったのだ。
 二人目の女性はそのことを察したのだろう「話の腰を折ってしまったですかね」と遠慮していたが、この女性も自分の薬を出してもらったあと猫の薬について尋ねて来た。
 2匹の猫を飼っているのだが、ふけが激しいからと、ふけの薬を求められたのだが、そんなものは僕の薬局にはないし、そもそも猫がふけで苦しむなんてことも知らなかった。当の猫より、飼い主が気になるのかもしれないし。
 「薬は無い」で簡単に終わったのだが、さすがに2匹も飼っているくらいでなかなか猫について詳しかった。色々教えてもらったが有難かったのは「猫は抱っこされるのが好きではない」と言うことだ。と言うのは、我が家のプリンは僕の膝の上にも乗ってくれないくらいだから猫を飼っている家の風上にも置けないレベルと落ち込んでいたが、抱かれる猫の方が少ないと聞いてほっとした。妻には一瞬抱かれるが、結構短時間で降りようとするから、そもそも猫好きの人でも抱っこし続けるのは難しいんだと納得し安堵した。妙なコンプレックスに襲われなくていいことが理解できた。もう一匹欲しいみたいだから、いずれ僕らがいなくなってプリンが行く当てがなくなったらお願いすると頼んだら、快く引き受けてくれた。
 そしてその方が帰ってすぐ、もう閉店間近のころに3人目の方がやって来た。その方も会計がすんでからなぜかペットの話になった。おそらく僕が調剤室にいた時に妻と話がそちらのほうに行ていたのだろう。
 その方のエピソードは、ペットショップで買った犬を獣医に連れて行ったときに、その犬を見て「何でこんなに安い犬を買ったの?」と言ったそうだ。飼ったの?ではなく買ったの?だ。なんて失礼なことを言うのだろうと、その女性は悔しそうだった。何時頃の話か分からないが、忘れられない屈辱なのだろう、わざわざその獣医の名前も教えてくれた。
 面白いことに何の誘導もなく、その女性がその後「飼った猫を抱くことが出来ない」と嘆いた。そこでさっき仕入れたばかりのj話をしてあげると、その女性も、猫の習性を聞いて安心していた。
 恐らく連続2時間位ペット談義が続いた。皆さんとても大切に育てていて、確かに家族の一員だ。僕も最近、プリンのいない生活は、物足りなくなっている。朝起きた時、昼食をとるために2階に上がったとき、仕事が終わったとき一番にプリンの居場所を確認してしまう。まさにツンデレだが、可愛いものだ。

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