障壁

 たったこれだけのことで、自分の心の中にいくつの障壁があるのだろうと呆れる、いや怖くなる。
 寝室の蛍光灯のスイッチが不具合になったのはもう1年以上前のことだと思う。ただ電池が入っている辺りを強く推すとスイッチが使えたから、単に接触が悪いのだろうということで、使い続けた。
 最近になって、手で押すだけでは機能しなくなったので、蓋を開け、直接手で電池を押さえつけるとまた使えるようになった。電池のすわりが良くなるのだろう。面倒だが、スイッチを買いに行くことよりはストレスは少ない。
 ただ、それをやっても使えなくなったので、遂に買いに行くことにした。先週の日曜日に出かけた所からの帰路、電気屋さんに寄ろうと思ったのだが、薄暗くなり始めたことをいいことに、お店に寄ることを延期した。何となく、代わりのスイッチを買って、試すことが面倒だったのだ。
 今日も先週と同じ所に出かけたのだが、日が少し長くなったせいで、購買を諦めるほどあたりが暗くなかった。そこでついに電気屋さんに入った。
 大型電機量販店の広い店舗の中で、ピンポイントでスイッチを見つけるのは元からできそうになかったのですぐに店員さんに相談した。するとすぐに見つけてくれたのだが、色々な会社の照明器具に使えるもので、設定が必要だと教えられた。その瞬間出来るわけないと、心はほとんど折れかけたが、スイッチが1300円で、機種が合わなければ返品可能と言うことで、買ってしまった。
 家に着くころには気が重たかったが、今しかないと思い説明書を広げてみた。この説明書を読むことが大の苦手だが、読まなければとてもできそうにないので仕方なく読んでみた。やはり読んでもできない。機種に合わせて幾通りかの番号を入力してみてくださいと書いてあるのだが、その番号がない。4桁の番号を押せというのだから、0から9までの数字が機械に当然出ていると思うのだが、どこにも数字は見当たらない。普通なら電卓みたいに数字が並んでいそうだが、どこにもない。ほぼ諦めていた時に、数字が例えば点灯と言う所を押せば1のこと、タイマーと言うボタンを押せば2のこと、30分と言うボタンを押せば3のこと、60分のタイマーを押せば4のこという説明個所を見つけた。「暗号か?真珠湾攻撃か?」と怒り心頭、諦めマックス。
 いくつかの指定された数字を打ち込んでいくと、5回目くらいで設定に成功した。出来るわけないと思い始めていたから、素直に嬉しかった。ただこれを教訓に、やればできるとか、苦手意識を持つのは止めようとかの、教訓的な心理変化は起こらなかった。今でも、考えただけでも憂鬱。息子が高校生くらいになってから全部ややこしいことはやってもらってきたことの反動か。
 挑戦と言う言葉が僕の生活から消えて幾年になるのだろう。一本の高速道路を歩いているようなものだ。目的もなく何時まで辿り付けない道だ。

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