2023まるがめ第九演奏会

 正解だった。今日は岡山のシンフォニーホールで第九の演奏会がある日だが、僕は敢えて丸亀の第九を選んだ。理由は簡単だ。4人連れて行くのだから半額の方を選ぶに決まっている。岡山なら時間も体力も節約できるが、節約する以上にストレス発散になるから、勝負は決まっている。
 でもそれ以上のことがあった。ソリストと合唱団の人達の歌声が、今まで20回くらい第九を聴いてきたが、近年では一番上手だったように思えた。アイレックスの音響がいいのかなと一瞬うがった考えが脳裏をかすめたが、そうではないと思う。一言で言うならば、唄声が弓矢のように飛んできて耳に入ったのだ。この弓矢のようにと言う感想は会場で思い浮かんだ。まったく意味が分からないドイツ語、まして100人近くで歌うのだから、どうしてもぼけて聞こえる。それが今日の合唱団は、まるで一人で歌っているくらい言葉が鮮明だった。
 僕はほとんど知識はないが、舞台挨拶された「丸亀ドイツ兵俘虜楽団の足跡を巡る会」の会長の挨拶を聞くと、並々ならぬ郷土への愛が1914年ころから続いていると言うことになる。確かに合唱団の中にお二人杖をつきながら上がってきた方がおられることなどから察すると、長年合唱団を歌い手として支えてきている人が多いのではないか。その都度編成と言うより、歌い続けられてきた歌を歌い続けている人が多いのではないか。そうでないとあの鋭利な歌声は完成されないと思う。
 その上にソリストもよかった。この人たちも言葉がとても鮮明に会場に響き渡った。
 この数年、マスク姿で合唱曲を歌う、まるで漫画みたいな企画に甘んじていたから、余計新鮮だったのかもしれないが、訳もなく涙が浮かぶ人類史上最高の芸術と言われる作品を残してくれたベートーベンに感謝だ。

空と君のあいだに 中島みゆき 日本テレビ系ドラマ『家なき子』主題歌 Unplugged Cover by Himari - YouTube