真夏の備後「第九」

真夏の備後「第九」と言うタイトルに引かれてチケットを買ったのだが、チケットとパンフレットが届いてから悩んだ。何故なら、パンフの何処を見てもオーケストラの名前が出てこないのだ。僕はまだ決まっていないんだと勝手に解釈していたが、今日受付で正式なパンフレットを渡されて初めて気がついた。伴奏は恐らくピアノなんだと。  3ヶ月の短期間の応援でかの国から来ている女性たちに、第九を聴いて帰ってもらえると喜んでいたから、幕が上がるのが怖かった。案の定、第4楽章から始まるのだが、伴奏がピアノ2台だけだった。こんな経験はないからどうなるか心配していたら、曲が進むに連れて、これもありかと思えるようになった。昔第九が好きになり始めたころは、合唱の部分だけが好きだった。第4楽章も小学校から口ずさんでいたから馴染みが深く好きだが、なんと言っても第九の醍醐味は合唱部分だ。オーケストラなしの第九に失望感から入っていったから、それほど合唱も期待していなかったが、合唱は上手だったと思った。毎年数箇所の第九のはしごをして、少しは耳が肥えてきたから上手下手は分かるようになった。パンフレットを見ると主催が福山シティオペラ合唱団をはじめ9つの団体からなっていた。間違っていたら申し訳ないが、歌が大好きなグループが集まった第九を歌う会なのではないかと思った  勿論それはそれでよい。それに便乗して僕は楽しませてもらったし、かの国に3ヶ月で帰る子達にもベートーベンを聴いてもらうことができた。多くの観客も来ていた。  予算の関係か、コーラスを際立たせるためか分からないが、もし許せばオーケストラで今日の歌声を聞かせて欲しい。県外の単なる第九お宅が言っても仕方ないが、もったいないような気がした。まして「千の風になって」の秋川雅史テノールで参加するのだから。