白線

「自分(あなた)に言うのを忘れとった。八冠おめでとう」と言うと敵もさる者で大笑いしながら「ありがとうございます」と返した。僕は追い打ちをかけて「心配していたんよ。下手に買い物になんか白昼出かけたら、ファンに囲まれるのではないの?」
 藤井聡太君が買い物に来たのではない。聡太君に似ている人が買い物に来ただけだ。僕の一押しのそっくりさんだが、自分も認めていて、こうした会話を楽しんでいる。
 その後、ある体調不良の相談を受け、煎じ薬を作ったが、上に記したような会話で話は進行し、処方まで行きつく。長年やってくる人だから、藤井君の話をしながら深刻な症状の漢方薬でも処方は決まる
 県内のあるところから雨の夜、3車線のバイパスを通って帰ったのだが、恐怖感のあまり休み休み帰ったそうだ。その恐怖感を味わったことで、日常のごく普通の動作まで不安になったと言うのだ。
 ところがその道のその場所を僕もよく知っていて、特に雨の日は白線が全く見えなくて、道路のどこを走っているかは、白線が決めるのではなく、傍を走っている車が教えてくれる状態なのだ。特にある1か所が、直線道路のはずなのに緩やかに右に曲がる。すぐにまた直線に変わるのだが、毎日利用している人でないとそんなこと想像がつかないから、なんで左車線を走っている人が接近して来るのだろうと驚くのではないだろうか。
 僕も同じ経験をしているから「そんなもん、無視じゃ。めったに通らん道じゃったら、それも雨で白線が見えんところなんか怖くて通れんわ!無視、無視」
 僕は日常の些細なことが過度に心配になると言う所に焦点を当てて漢方薬を作った。僕が深刻ぶったら当然のことが当然でなくなる。誰かが怖い時は誰もが怖い。誰かがおかしかったら誰もがおかしい。最大公約数で生きて行けばいいのだ。滅多にそこから外れたりするものはない。

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