2度見

 2度見どころではない。3度見、4度見、と言うか目をそらすことが出来なかった。もし向こうが僕の視線に気がついたら失礼になるだろうなと、一瞬は思ったが、ありえない光景に完全に僕は固まっていた。
 もう1か月近くなるが、家の前に立ち、遠くを眺めている男性を見つけた。ところがその男性は、それより1月前に亡くなっているはずだ。僕は我が目を疑い凝視したが、確かに亡くなった男性だ。何かを待っているのか、何かを探しているのか分からないが、微動たりともしなかった。
 そのうち僕は自信がなくなって来た。亡くなったと言うのは僕の勘違いで、このように存命なんだと言い聞かせた。それで何となく自身を納得させた。ただ、この現象が僕の老いによるものではないかと少し心配になったところで、ふと男性が少し動いた。
 そしてその瞬間、謎が解けた。彼は亡くなった男性ではなく、息子さんだったのだ。亡くなった男性は80歳を超えていると思うが、長い闘病生活で20年以上お目にかかっていなかった。僕の記憶に残っているのは、リーダーシップを発揮して町内会をまとめている頃の姿だ。まさに今僕が凝視していた息子さんと同じ年頃だ。
 要は親子そっくりなのだ。80歳の姿を見ていたらこんな錯覚には陥らなかっただろうが、偶然その方が外に出られなかったから20数年前の顔しか僕には想像できなかったのだ。だから息子さんとの瓜二つもありうるのだ。
 歳をとるにしたがって親とそっくりになる人が沢山いる。まるでトリックのような今回の出来事がそれをリアルに証明してくれた。
 それにしてもよかった。まるであちらの世界から来たような趣だったから。もう少しで「誰も連れて行かないで」と祈るところだった。

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