再現

 今日の牛窓は天気も良く気温も上がって戸を閉めての仕事など考えられなかった。朝から入り口は解放して、仕事をしていた。
 昼食を終えて2階から降りてきてしばらくすると、聞き覚えのないとても清らかな鳥の鳴き声が聞こえてきた。田舎とは言え、道の両側にはほぼ家が途切れることなく続いているところで、およそ似つかわしくない鳴き声だ。NHKの自然を取り扱う番組の中でしか聞いたことがないような鳴き声だった。ここでカタカナで鳴き声を再現してもいいが、やればやるほど価値を失うような気がする。高音で、少し延ばすような鳴き声だ。楽譜なら五線のもっと上の辺りの音で、全音符で表すことになるだろう。楽器ならピッコロか。これらの情報で頭の中で鳴き声を作ってほしい。
 最初に「すごくいい鳴き声が聞こえる」と言ったのは僕だが、事務仕事をしていた妻も、調剤していた娘も聞き耳を立てていた。さすがにあれだけ綺麗に鳴かれると、誰の心の中にも入り込めるのだろう。
 家々が連なる場所には全く不釣り合いだったので、どこでどんな鳥が鳴いているのか確かめたくなって、外に出てみた。鳴き声がする方を見ても、特に屋根にも電線にも見つけることが出来なかった。近くにいるはずだが結局は、姿を目撃することなく幻の鳥で終わった。山の方に帰って行ったのだろうが、牛窓の山に似合う鳴き声ではなかった。
 およそ山と言うものとは縁がない人生だったから、ことそれに関しては知らないことが「山と」ある。あの清らかな鳴き声が、そのことを教えてくれた。

 

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