花回廊

 僕は、勝手に「花回廊」と言う施設があるのかと思っていた。河津桜で有名な所らしくて、テレビで宣伝していた。目の前を毎回、玉野教会に行くときに通っているが、そして毎年この時期になると桜が咲き誇るのも見ていたが、そこがゴルフ場らしくて、そもそも縁遠い存在として僕の脆弱な好奇心からは除外していた。
 ところが名前のごとく、児島湖周辺にまるで回廊のように植えられた河津桜のことを指していることが分かって、これは一度見に行かない手はないと思い、来日して間もないベトナム人を連れて見に行った。
 確かに途切れることなく満開の河津桜が続いていて、とても遠くまで行ってみようとは思わなかった。とくに写真撮りまくりで時速100メートルくらいだから、遠足覚悟でないと所詮無理だ。
 いつものように僕が興味を引いたのは、主役の桜ではない。その広大な土地だ。ゴルフ場なる物に今まで一度も足を踏み入れたことがないから、その広大さに驚いた。とくに空港と隣接しているから余計に広く感じたのかわからないが、これまた、とても端まで行ってみようという気は起こらなかった。
 僕が、整理されなおかつ広い土地を見て思ったことは、南海沖地震でこの辺りが被害を受けた時に、仮設テントなり仮設住宅を作るにはうってつけの場所だってことだ。これだけ広い土地などそんなにあるわけがない。とくに県南の開けた土地で。
 堤防で湾を仕切ったすぐそばの土地だから、海抜はそんなにはないだろう。もし津波で被害を受けなければ確実に多くの方々の仮説の住処になる場所だ。現在は金持ち連中のフェンスに囲まれた土地だが、その時には被災者たちを絶望から切り離してくれるフェンスになる。被災者と咲き誇る桜並木。そんな映像がテレビや新聞でお涙頂戴の題材にならないことを祈っている。

 

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