工事

 もう1年くらい前から通るたびに楽しみにしていた場所がある。兵庫県に出たり、備前市に行ったりする時に使うブルーハイウエーと言うバイパスだ。僕の住んでいる町から東は、ほとんど山の中腹を走ることになるから、緑のトンネルで気持ちがいい。難点は片道1車線だから時々悲惨な事故が起こる。
 丁度瀬戸内市備前市の中間あたりで、1年前くらいから工事が始まった。東西からの進入路らしきもの、そして山を削った広い土地。もうこうなれば期待しかないが、何が出来るか想像できるものもないし、噂にも上らなかった。通るたびにそのヒントを横目で一瞬のうちに見出そうとするが未だ成功はしていない。
 今朝一番に備前市から漢方薬を取りに来た男性が、その答えを持っていた。「チラシに出ていましたよ。あのー、焼くやつ・・・」焼くと言われて想像できるのは、備前だから日生の牡蠣。殻つきを焼いて食べるのはシンプルだがめちゃくちゃ美味しい。それとも大阪みたいにたこ焼き屋さんがないから、有名店がオープンすれば受けるかも。でも、そうした店を作るには広すぎる。
 「焼くやつ・・・あれは、なんて言ったかなあ?」と余程説明に困って決定打が出てこない。そこで「道の駅ができると思ってずっと楽しみにしていたんだけど、道の駅ではないの?」と僕にとっての決定打を出したがあっさりそれは否定された。
 そこでふと僕の脳裏によぎったのが「焼き場」そこで彼に聞いてみた「人間を焼くところ?」すると彼は「そうそう、それそれ」と安堵していた。なんじゃ、縁遠いことだから言葉が出なかったのか?牛窓弁だと通称「焼き場」だが備前では何というのだろう。それとも備前にはそもそもその施設はなかったのだろうか。牛窓には僕が子供の時から西脇地区の山の中にあったから、「焼き場」と言う言葉も身近だ。
 勝手な僕の期待は見事に裏切られたが、それはそれでいいことだ。多くの火葬場が老朽化して、地域を越えて広域で新しいものを作っている。便利がよくて気持ちよい所だから最高だ。そして誰もがお世話になる所。ポイントも割引もない所。笑顔が絶える所。妙に黒服が似合う所。予約が効かない所。リピート客になりたくない所。ペイペイで払うには何となく気が引ける所。

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