完璧

 比較するものを持ってもいないし、使ったこともないので、その機能の正確さに驚いた。
 ある老人が薬局に入ってきて、耳が遠いのでと言いながら、スマフォ画面を僕にかざした。耳が遠い方は結構おられるから、いつものように大きな声で話しかけた。すると男性はスマフォ画面を僕に見るように仕向けた。真っ黒い画面に、大きな白文字が並んでいた。なんとなく読める所もあったが、全体的には意味不明だった。奥さんと言う言葉を男性が発したから、奥さんが電話口にいるのかと思って、話しかけると、男性がスマフォを取り上げ再び僕に画面を見るように促した。
 画面には白文字で書かれた文章があるが、現在進行形で次々に字が現れていた。スマフォが壊れているのだろうと思ったが、一つだけ正確に書かれた文字が並んだ。そこで初めて気が付いた。これは音声を文字に変えている機械なんだと。これを自動翻訳機とは言わないのだろうが、面と向かってしゃべると明らかに僕が喋ったままを文字に変換している。完璧!と感心したので、この機械を使わない手はない。耳が聞こえなくても意思疎通は簡単にできる。そこで男性が今まで発した言葉から想像して「奥さんが痔で困っていて、座薬を買ってきてと頼まれた」と類推した。
 まったくその通りで、男性も僕も安堵した。僕がこの手のものを疑似体験しているのは犬あっち行けいのニュースで「ただいまAIによる自動音声でお伝えしております」と言うフリップや音声だ。毎日なんでわざわざ断りを入れるのか理解に苦しむあのナレーションがどうにかならないかと、不快に思いながら聞いている。
 大きな放送局と田舎の老人のギャップはあるが、身近に目撃した分、老人の方がインパクトがあった。科学技術の恩恵をこんな田舎の老人まで受けられているのだと思うと、科学の発達もまんざらではないが、願わくばその恩恵をまずはハンディーを抱えて生きておられる方々全員に、そしてその次に今のところまだハンディーを抱えていない全ての人に。

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