一瞬、テレビのタイトルで見ただけだが、ワールドカップの決勝戦の視聴率が３５％だったことに驚いている解説者の声がタイトルとして使われていた。僕にとっては、３５％もの人が見ていたのかと逆の驚きなのだが、彼には信じがたかったのだろう。
その解説者が誰だかわからないが、よほど世の中を理解していないと思う。スポーツにフォーカスし、サッカーにフォーカスし、ワールドカップにフォーカスし、時間帯にフォーカスし、そしてあの数字だから、そんなに見たのかと言う世界だ。
僕はひねくれているから、サッカー好きな少年がそのまま大人になりボールをけっていれば数億円のお金を貰える人を応援などしない。ただ世の中には、他人の職業をお金を払って応援する健気な人が多い。
僕にとっては、ヒーローは巷に無数にいて、僕を生かせてくれている。誰かのおかげで食べ、誰かのおかげで眠り、誰かのおかげで病を治し、誰かのおかげで衣服をまとい、誰かのおかげで、遠くまで行き、誰かのおかげで安心して暮らせ、誰かのおかげで学び、誰かのおかげで暖を取り、誰かのおかげで文字を追い、そして多くの数えきれない方々のおかげで生きてきた。このことは誰もに共通することだ。
僕にとってのヒーローは上記の、たかだか懸命に働いても年収数百万の人達だ。それもひょっとしたら四捨五入したら下の部類に入る人たちだ。ボールをけるだけで、そんな人の数百人分の収入を得る人を応援なんかあほらしくてする気も起らない。
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