紹介

 毎日のように、薬学や医学の情報がメールで送られてくるが、いや正確には1日何本もの情報が送られてくるが、そのすべてに目を通すことはできないし、目を通してもわからないものが多い。特にお医者さん関係のものは難しくついつい目を通すのが億劫になり、多くが消去の運命をたどる。
 ただ時には、下記のように、とても上手に僕ら程度の人間でも付いていけるように書いてくださる救急医療専門の先生がおられて、必ずと言っていいほど目を通している。ウイットに富んでいて、読むことに疲れない。お医者さんの本音を聞かせてくれて、垣根をずいぶんと低くしてくれる。こんな先生に巡り合えば、治りにくいものでも一緒に頑張ろうかと患者さんも思えるのではないだろうか。僕など、足元にも及ばないが、せめて足元くらいはうろちょろしてみたいものだ。
 
 今日の投稿の切り抜きを紹介

 「ERにいると、重症な人がたくさん来て大変ですよね?」という質問をいただくことがよくあります。が、実は重症対応よりも大変なのが腰痛対応です。
 多くは筋断裂などを病理学的背景とするギックリ腰でしょうが、大動脈解離など全身性疾患や怖い病気が含まれていることもあります。そして、ギックリ腰と診断したところで、痛みを和らげるのも難しく、動けない患者さんの対応に難渋します。どんな腰痛でもたちどころに改善させられる手段があればいいですが、なかなかそうもいきません。そして、歩けないとはいえ、手術も何もしない人を急性期病床に入院させていいものか、無理やり帰宅させてもう1回救急要請されたらどうしようとか、いろいろ悩むことになります。
 さて、急性腰痛症の診断をしたら、あとは鎮痛薬を処方することになります。2014年に、アセトアミノフェンを服用しても腰痛改善までの時間はプラセボ(偽薬)と変わらないとする論文が出て、結構絶望しました。
 ただ、腰痛患者さんの望みは、「2週間ほど続くであろう腰痛を1日でも短くしてほしい」ではなく、「今すぐ痛みをどうにかしてほしい」だと思います。しかし、改善させるのはなかなか難しいです。
医師 病院にいてもできることがない。
患者 でも立てないから帰れない!
医師 すぐに良くなる薬はない。
患者 じゃあどうやって帰れと!?
 こんなやりとりが繰り広げられます。腰が痛いのは救急医のせいではないのですが、何だか僕らが悪いことをしているような気持ちにすらなってくるぐらいに責められます。せめてどうにかしようと、チザニジンやジアゼパムなどを使うこともあるかもしれませんが、おまじないの域を出ないような気もしています。これ、実際のところどうなんでしょう?

 

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