現実

 これが西部劇の拳銃による決闘だったら、完全に僕は撃たれているだろう。およそ0.5秒の差で。
 近所の老人が何やら手にしてやってきた。それを見せながら「老人会の決算書をみんなに見てもらって承認をもらわんといけんのじゃ。大和さんも承認してえ」と言った。理解までに0.5秒はかかったが、その0.5秒をその方が察してくれて「大和さん、今年から老人会なんよ」と教えてくれた。
 僕が老人会?と言うのが0.5秒後の感想なのだが、事実は受け止めなければならない。僕の頭にはそんなことはみじんもなかったので、衝撃と言えば衝撃だった。まだ半世紀くらい先の話くらいにしかとらえていなかったので、不意打ちを食らった。
 思えば、客観的に見てそうなんだなと思わされることは何度もあった。昨年、おばあちゃんに連れられてきた大学生が家で僕のことを「おじいちゃん先生」と呼んでいるらしいし、もう何年も前に教会でフィリピン人におじいちゃんと呼ばれた。ベトナム人にも呼ばれたから、彼らの国ではもう僕はおじいちゃんなんだと思ったことを覚えている。
 僕はこの20年、100人以上のベトナム人に常に「お父さん」と呼ばれてきていたから、それに慣れ過ぎて客観的な評価を見逃していたような気がする。もうすぐ最後のベトナム人グループとお別れすれば僕をそう呼ぶ人はいなくなる。そうすればおじいちゃんのほうが自分でも受け入れやすくなるかもしれない。「心は二十歳、体は80」と言うギャグを長年使ってきたが、もうすぐギャグではなく現実に変わりそうだ。

 

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