監督

 夕食時に偶然ある番組を見た。番組が始まってすぐに、岡山県のことだと知り、タイトル自体にはあまり興味を持たなかったのだが、つい見入ってしまった。
 主に動物などをテーマにした番組だと思うが、NHKの「ダーウィンが来た」と言う番組だ。なんでもアユモドキと言う魚は、岡山と京都だけにしかいなくて、絶滅危惧種らしい。そしてそれが人間の営みによって絶滅を免れていると言うところが引っ掛かったのだ。
 石垣を積んだ水路だから、石と石の間に隠れることが出来大きな魚から逃げられる。産卵に必要な湿地は、近隣の住民が田んぼに水をひき人工的に作られている。地域の住民などが30年世話をしているみたいだ。
 まとめればこのような内容なのだが、その世話をしている小学校が千種小学校と聞いて、なるほどなと思った。岡山市と言っても、合併によって岡山市になったようなところにある小学校だ。
 30年前に、僕はスポーツ少年団の少年サッカーチームと少女バレーチームを作って指導していた。日曜日にはしばしば練習試合などで色々なところに出かけていたが、その中の一つが千種小学校だ。牛窓と同じくらい小規模な学校なのに、なんでこんなに強いんだと驚きだった。ただ、そこにはとても熱心な指導者がおられて、その方の指導力のたまものそのものだった。小規模小学校だからそんなに逸材がそろうはずもないのに、力は大規模学校に匹敵するくらいだった。
 その指導者には二つの姿があって、とても厳しい指導と、試合が終わった途端、子供たちがじゃれてぶら下がる姿。その後者の風景が、アユモドキの稚魚を放流する千種小学校の生徒たちの姿と重なったのだ。あの学校の子供たちだったらできるに違いない。まだまだ緑豊かな町に暮らす子供たちなら、用水路で泳ぐ小さな魚に愛着を感じ大切に見守れるのではないかと思ったのだ。
 さっきまで厳しく指揮されていたのに、試合が終わると監督にまとわりつく姿など、なかなか真似は出来ない。監督の人格が作ったのか、そこで暮らす人たちが作ったのか、そこの風土が作ったのか今だ分からないが、30年たった今も、羨望の的であることには違いない。

 

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