別に議員を使って圧力をかけようとする意図はない。職業上、僕らより多方面で詳しそうだから、薬局に漢方薬を取りに来た時に相談してみただけだ。
すると議員と言うものの習性だろうか、さっそく役所に相談に言ってくれた。ところが答えは僕が知りたい内容ではなく、議員案件にしないようにと言う苦言だけだった。直接僕が相談に来てもらえれば相談に乗りますよいうことだった。けだし健全だ。
数日後、相談事の資料をもって役所に行ってみた。過去何度も薬剤師が関係する委員会などで訪ねたことがあるが、相談事で訪ねるのは初めてだ。まして建設課などと言うのは縁遠いから、部屋の場所さえ知らない。
そこで僕はいい機会だから、いわゆる公務員の日常の接客？態度を試してみたくなった。巷公務員が目の敵にされることが多いが、それが当然なのか、あるいは単なる誤解や嫉妬なのかを知る良い機会だと思ったのだ。
１階の受付の前に無言で立った。商店なら、自由に任せて商品を物色させてくれるか、店員が近づいて要望を聞くかだ。手持無沙汰風で立っていたら、女性職員が意外と早く対応してくれた。そこで建設課に用事があると伝えると、Ｂ棟にあると教えてくれた。
ところが僕にはB棟もＡ棟もわからない。その由を伝えると「案内します」といって建設課まで案内してくれた。申し分ない対応だった。
建設課の前で同じように演じたのだが、ここでもすぐに対応してくれた。若い男性職員だったが、決まり文句の多い役所言葉で説明してくれたから、理解に時間を要するようなこともあったが、別に対応に不備はないと思う。その後、もっと専門的な立場の人にバトンタッチしたが、彼は見るからに温厚そうだったが、決断も早かった。
というのは彼が約束してくれたように、翌日のお昼ごろにはちゃんとお願いした危険個所に、２本の市役所のコーンが立っていた。人がくぼみに落下しそうなところを見つけたので、相談に行ったのだが、２４時間以内に対処してくれたことになる。
議員が間に入ったからの対応ではない。一市民が訴えたことに対して対処してくれたものだ。今、国中でお金がないから、本当は政治屋のお友達のところにはザクザクお金が回っているが、こうした些細な不都合には公は何もしてくれないと聞く。この先実際にどのような対応をしてくれるのかはわからないが、議員を間に挟まなくても誠実に対処してくれることが分かったのは、今のご時世、救いだった。
