専売特許

 同じような人がいて、それも専門家だから、ほっとした。僕の漢方相談に一番欠けているのは品だ。2番目は知識で3番目は真心で、もうその欠け具合はと言うとほとんど総入れ歯だ。 まるで僕の専売特許かと思っていたら、東京の心療内科のお医者さんが僕と同じことを言ったと、ある街の議員が教えてくれた。もう2年近くお世話をしているその議員の友人が東京で医者をしているらしい。癌の手術をした後、鬱状態になった彼を近隣の医者がある抗ウツ薬などで治療をしようとしたらしいが、セカンドオピニオンとしてその事を友人の医者に相談したら「そんな薬効くはずがないから止めておけ。パチンコでもした方が余程ましだ」と助言してくれたらしい。このまさにお得意のフレーズ「パチンコでもしたら」を心療内科の医者が言ったことに驚いた。親友に抗ウツ薬や安定剤をのませたくなかったのか、それとも本当に抗ウツ薬などを信用していないのか分からないが、助言の品のなさにメチャクチャ親近感を持った。  その議員は結局僕の煎じ薬などですこぶる元気になって、議員特有の動物的な臭いをぷんぷんさせて頑張っているが、品のない患者には品のない薬局の品のない処方が一番だ。もし品で人の病気が治すことが出来るのなら、僕はすぐにでも髪結いに走り、その足で洋服の青山に回り、駅前留学で会話の中にちりばめるカタカナ英語を学び、パチンコ屋の前を軽くステップを踏みながら通り過ぎるだろう。でも毎日応対している人にかける言葉は今も昔も「パチンコにでも行ったら」なのだ。1日何時間も弾き続けた絶望のバネがまさか今になって人を救うことが出来るなんて・・・もっとのめり込んでおけばよかった。