士農工商

 倉敷市の水島は、臨海工業地帯として栄え、国内でも有名な企業が集まっている。昔は公害でも名をはせて、教科書にも載っていたのではないか。
 その話は遠い昔のことだと思っていた。僕らがまだ若いころの話だと思っていた。ところが昨日、そこからやってきた方が、そうでもないことを教えてくれた。僕に教えるという意図は全くなく「いい天気ですね、空気が美味しくて気持ちがいいね」と言う、何気ない普段の挨拶から始まった。
 この美味しい空気と言う挨拶に、その女性は違和感を覚えたのだろう。住んでいるところが水島と明かしてくれたあと、「工場が煙突から煙を出す時には放送があるんです。すごい煙なんです。服なんか出していたら真っ黒になりますよ」と教えてくれた。「服が真っ黒になると言うことは、肺の中までそうなっているんじゃないの」と返したが、当然だろう。
 この時代に、何十年も経っているのに、まだ同じことを繰り返していることに驚いた。そしてその黒い空気を甘んじて受け入れている人がいることに驚いた。放射能もワクチンも、見えないものならまだわかるが、これだけ見えるものでも受け入れてしまうのだろうか。
 企業城下町に暮らす人は、自分の肺胞を提供するのだろうか。もっとも遺伝子まで提供するのだから、それもありか。同じ人間が、大金持ちと貧乏人に分かれ、傷つけても非難されず、傷つけられても文句を言わず、なんとも哀れなものだ。
 江戸時代の士農工商が、現代の「死のう後(遺)症」に変わっているだけだ。

 

過敏性腸症候群、うつ病のご相談は栄町ヤマト薬局まで