芸能界

 当時の僕の大学は珍しく男が圧倒的に多い大学でした。特に僕がいた製造薬学部は女子生徒は5人くらいだったと思います。僕が岐阜薬科を受験した大きな理由の一つでもありました。
 当時の岐阜薬科の男子学生の9割くらいは浪人生で、4浪なども珍しくありませんでした。入学してきた後輩が人生の先輩などと言うのも珍しくない大学です。ほとんどの学生が、医学部を受験して落ちた人です。頭が少し足らな

かったか、私立医大に行けるほど家が金持ちでなかったか、僕みたいに顔が良すぎて、芸能界に行くか迷った人たちでした。
 ほとんどの人たちが、受験競争に負けた人だったので、どこかひねくれていて、その陰の部分が僕にはとても居心地がよく、多くの非生産的な経験をさせてもらいました。
 藥大に行ったのに、読んだ本はマルクスレーニン吉本隆明高橋和巳。読んだ詩は中原中也
 パチンコの台に毎日、数時間向かい、1杯のコーヒーを飲みながら喫茶店の中で粘り、夜には下手なギターを弾き、朝まで麻雀。駄目だ駄目だと思いながら、抜けられない日々。今思えば「危なかった日々」が、その後の僕をまっとうに生かせてくれたのだから皮肉なものです。あの頃の壮大な怠惰がなければ、今の僕はありません。教科書には載っていない青春でした。
 君は僕より少し頭がいい分、多くの人が大学で直面する問題に高校生で直面しているのだと思います。僕はお送りした「やる気むんむん」の漢方薬で勉強をしてもらおうとなどは考えていません。いかに僕の青春がそれとは遠いものであったか今述べたとおりですから、そんな権利は全くありません。ただ一つ、昔(僕ら)の大学生のように、全く無秩序に生きる楽しさを味わわない手はないことを言いたいのです。何にも縛られない大学生活は、恐らく人生で一番スリリングですよ。人に同調する必要などなく、堂々と我が道を行ける4年間です。捨てるにはもったいないです。どうせならそのためだけにでも大学を利用したらいいです。堂々と遊べる最後の時間です。青春そのものをテーマに遊んだらいいのです。この高等な遊びを極めたらいいです。
                              大和

 

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