徘徊

 緊急事態宣言のおかげで再び瀬戸内市の巨大公共物が僕のものになった。とくに夕方6時半以降はほとんど独占状態だ。朝のように犬連れグループに気兼ねもない。
 僕が主に徘徊するのは、車が30台くらい入る駐車場。下がコンクリートだからテニスコートに水たまりができている時は重宝する。隣接するテニスコートは4面ある。そしてそこから道路を挟んで(校内に道があると言う不思議なつくり)広大な運動場。1周200メートルのトラックが2つは出来そうなくらい広い。そしてその運動場を望む4階建ての校舎。体育館と連結している。
 これらのものが夕暮れの一時僕の独り占め空間だ。建築費がどのくらいでできたかわからないが、恐らく数十億円のものがただ一人のために存在する。
 まるで税金泥棒だが、田舎にはそんなはした金ではできないものがある。後ろにそびえる丘と、前に広がる瀬戸内海。ついでに言えば晴れ渡る日々が続く空。何兆円、何百兆円費やしても絶対に作れないものだ。
 お前らの存在自体がこの国の緊急事態と言えるようなやつらの体臭をかぐ必要のない、穏やかな日々。あたりが真っ暗になる前に、幅数メートルの県道を横切り帰宅する。

 

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