共有

 今日、期せずして二組の方と喜びを共有できた。
 一組は県外から漢方薬を取りに来てくれている夫婦。もう一人は岡山市の方だが、出身は牛窓によく似た港町の方。それぞれ感動の違いはあるけれど、喜びを共有できたことが嬉しかった。その原因が僕の漢方薬でないのは少し残念だが、僕の大好きな伊勢神宮の神楽だった。
 神戸に近い市から来てくれた夫婦は、都会の人らしくお神楽は見たことがなかった。薬局のそばで家々を回っているのを目撃して興味は持っていたみたいだが、実際に見て感動してくれた。と言うのは一所懸命録画をしていたのでもわかるし、舞が終わったときに奥さんが拍手をしていた。「そこは拍手するところではないんだけどなあ」と反射的に思ったが、奥さんにとっては拍手は当然なのだ。と言うのはこの夫婦は大道芸に関して僕の師匠で、まったく興味がなかった僕にその面白さを教えてくれた人たちだ。おかげで僕も何年も未体験ゾーンに踏み込んで楽しませてもらっている。だから夫婦にとっては神聖な神の使いではなく、高尚なパフォーマンスなのだ。
 もう一人の女性は「懐かしかった。いいタイミングで来ました」と言ったように、かつて実家に夏になると訪ねて来て拝んでくれていたのを覚えていたのだ。僕の場合は薬局の前の駐車場で舞ってくれるが、一般の家庭だと家の中に入って汚れや厄を払ってくれるみたいだ。お供えを渡す母親の姿が印象に残っていたみたいだ。「まだこんな風習は残っていたんですね」と都会住まいの今は縁遠いみたいだ。伊勢神宮からやってきた集団が、獅子を操り家々をお布施をもらって回ったら、都会では非難ごうごうだろう。神聖と都市化は相反するかもしれない。
 来年こそは大神楽をお願いして、古くから受け継がれてきた大道芸を二組に見せてあげたい。いや牛窓の僕ら世代以上の方々に見せてあげたい。もし実現出来たら招待するからねと約束したから、頑張って準備しなければと自身にプレッシャーをかけた。

 

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