人心

 もっぱら日曜日は農作業だ。と言うより開墾に近いかな。
 20年は放置されていた古民家裏の荒れ地を整地しようとしているのだが、到底できないだろうと思われたものが形になってきている。これはベトナム人女性たちの献身と、機械のおかげだ。
 小さなトラクターを買い、草刈り機を2台そろえ、備前鍬は3本用意している。スコップもある。これらを器用に扱い、延べにしたら40人以上のベトナム人が働いてくれたことになる。
 問題が一つ出現した。それは蛇だ。すでに3回見た。2回は同じ蛇のようだが、一番新しい遭遇は別物で、ピンクがかった色の白い蛇だった。
 僕は、僕も?へびは大の苦手で存在を消したくなる。普通ならあまりの「怖さ」に逃げると思うが僕は逆に追いかけて殺す。ただベトナム人たちが一様にかわいそうと言うのですべて見逃している。
 ただし蛇がいる光景は嫌だし困る。だから薬を取りに来る農家の人たちに教えを乞う。色々と興味深い体験を語ってくれるから、少しだけ知識が付いた。
 ある若いスイカ農家の男性は、マムシよりヤマカガシのほうが3倍くらい毒が強く、怖いと言った。
 ヤマカガシについては聞いたことがあるくらいで具体的には何も知らなかった。背中が赤いのですぐわかるそうだが、以前はめったに見かけることはなかったそうだ。それが最近では畑どころか道路にも出始めたというのだ。そしてその理由を、推測だと断ったうえでイノシシのせいだと言った。イノシシは数年前からますます人里まで下りてきて、畑を荒らす。畑のいたるところに五右衛門風呂かと言うような穴を掘る。イノシシは蛇も食べるらしく、要は蛇も山からイノシシに追われ下りてきているというのだ。
 放置された荒れ地は蛇の安住の地だったのだろうが、今やイノシシに領海侵入を許しているってことだ。見つけるたびに背後に回って鍬で殺すと言っていたが、この「背後」も参考になる。正面に構えると飛びかかってこられる可能性があるらしい。
 この男性が作るスイカはとてもおいしく夏は行列ができるほどだが、こうした危険と隣り合わせで作っていることを知り、またまた農家の方に感謝。僕らが少しは謙虚でいられるのはこうした方を目の前にすることができるから。金で人心をもてあそぶ奴らに一度でも会わせたい人々だ。

 

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