低度

 今日は珍しく半ドンだったのか、3時ごろ仕事をしていると8人のベトナム人がやってきた。これから荒れ地を耕してくれるというのだ。昨日から降っている雨で足元も悪いだろうから、日曜日の作業は辞退していたのだが、振替でもないだろうがこれからすると言ってくれた。
 ひょっとしたら足場がぬかるんだりするのではないか、水たまりができて蛇でも出てくるのではないか、とてもお願いできるような状況ではなかったが、彼女たちはやる気満々で、倉庫から小型のテーラー、草刈り機、備前鍬などを勝手知ったるなんとやらで持って行った。
 2時間くらいして差し入れを持って行くと、倒木の奥、まだ手が入っていなかったところも草を刈っていてくれた。そして深く張った根を力強く黒い土の中から引っこ抜いてくれていた。終わりのない作業のように見えるが、何日も掘り返しては根を抜いてくれるから、一本の草も生えていない。かつてはイノシシが隠れるくらいの笹林だったのだが、いまは作物でも作れそうだ。
 不意打ちにやってきたのにはおそらく理由があって、僕が備前市の朝市で、大量の魚をお礼に買ってくるのを防ぐためだと思う。「お礼をしてくれるのなら、私たち、草抜かない」と必ず言う。当然本気で言ってくれるのだが、あの手この手で受け取ってもらっていた。魚を買いに行くより、受け取ってもらうときの口上のほうが大変だ。お互いが遠慮しながら着々とことは運んでいる。
 20年近く、善良なベトナム人と知り合って、多くの感動をもらった。ただ、「ベトナム人が怖いようなベトナム人が日本にやってきている」と10年くらい前に同居していたベトナム人二人が教えてくれたことが現実になった。
 寂しいことだが、僕にとって一番大切な事は、日本の若者たちが、彼らの水準まで給料を下げられ、アジアの中で貧しい部類に陥ることを防ぐことだ。すぐ近所に、あの人たちの大きなコミュニティーができたとしたら。田舎の人たちの平安はどうなるのだ。ブラック企業の生き残りのために、田舎や若者が犠牲になってはいけない。そのために、僕の懸念を代筆してくれているような文章を見つけたあから、下に張り付けておく。ある限界を超えて増殖した外来種は手が付けれなくなる。動物でも植物でも。

「人を殺してもへっちゃらで…」無免許“死亡ひき逃げ”ベトナム人技能実習先でも“問題人物”だった
安田 峰俊 2021/06/15 17:10
今年3月、在日外国人問題を扱うノンフィクション『 「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本 』(KADOKAWA)を上梓したルポライターの私は、目下、2020年12月19日に茨城県古河市で発生した死亡ひき逃げ事件を追い続けている。
技能実習生で不法滞在者(仮放免)のベトナム女性、チャン・ティ・ホン・ジエウ(当時30歳、以下「ジエウ」)が、無免許運転をおこない、当時55歳の日本人男性を死亡させたうえその場から逃走。翌日に逮捕された一件である。亡くなった男性は古民家再生の分野で豊富な実績を持つ建築士で、地域の文化の担い手として尊敬を集めていた人物だった。
 近年、逃亡した技能実習生やそれに近い立場の在日ベトナム人(通称「ボドイ」)の間では、無車検車両の売買や無免許運転がほぼ野放し状態になっている。ボドイたちによる小規模な交通事故も多発してきたが、おそらく古河事件は日本人の犠牲者が出た最初の例だ。
 加害者のジエウは私との接見や初公判の場でも罪の意識が希薄に見えた。2021年春に一審で懲役4年の実刑判決が下ったが、本人はどうやら「刑が重すぎる」という認識を持っているようだ。ジエウや彼女の親族・友人に賠償金を支払う経済力はほとんどないため、事件の遺族は事実上、泣き寝入りに近い状況を強いられるとみられる。
 「ジエウは働いて5~6ヶ月で逃げたね。平成28年(2016年)4月8日の夕方におらんようになって、10日に警察署に失踪届を出した」
 岡山県東部の漁村Z地区で、牡蠣の養殖業を営む小規模な水産会社を経営するA氏は、私の取材にそう話した。数年前に先代である父親から事業を引き継ぎ、家族とともに事業をおこなっている。2015年11月、ジエウはこのA水産に技能実習生として来日した。
 「いまは実習生の8割がたがベトナム人。仕事ぶりは会社によっても違うんじゃが、優しいお婆ちゃんが大事に扱ったりするところでは、付け上がって真面目じゃなくなる。あと、最初の2~3年は真面目でも(技能評価試験に合格して技能実習3号になる)4~5年目からいきなり適当になるやつもおるね」
 「ジエウが来た年は、ベトナム側の送り出し機関に問題があって、他の年より実習生の質がだいぶ悪かった。うちにはジエウともうひとり、隣の会社にも2人が来よったけど、全員が逃げた。ただ、ジエウはそのなかでも1人だけタイプが違った。日本に仕事をしに来たとは思えんほど、特に不真面目な印象じゃったわ」
「人を殺してもへっちゃらで逃げそうなタイプ」
 「ジエウはベトナム側の送り出し機関にいた期間が長かったいうて、実習生にしては日本語が上手かった。漢字もいくつかわかるようじゃった。でも、あらゆることにいい加減で、わしらの言うことをなんも聞かん。他人に無関心で、他のベトナム人とも打ち解けとらなんだ。あいつは5年後に茨城県で人をはねたというが、たしかに人を殺してもへっちゃらで逃げそうなタイプじゃったと思うよ」
不法滞在・無免許・無車検・無保険・無謀運転…
 2020年12月、茨城県内で死亡ひき逃げ事件を起こした当時も、ジエウは仮放免された不法滞在者であり、しかもわずか3ヶ月半前に無免許運転で有罪判決を受けて執行猶予中の身だった。それにもかかわらず、無車検・無保険の自動車を再び無免許で運転して無謀な運転をおこない、対人事故を起こしたうえ、負傷者を救護せずに逃走して人命を奪うことになった。
現在の技能実習制度のもとで来日した外国人労働者のなかでも、質の低い(と書くしかない)層の人材が実習先を逃亡した後に無免許運転をおこなって交通事故を起こす例は、近年かなり増加している。報道された事例だけでも、2020年に十数件。新聞に載らないレベルの対物事故や、さらには通報がなされなかった例まで含めれば、実際は10倍以上あるかもしれない。
ベトナム国内の「低度人材」輸入システム
 私は昨年以来、拙著『 「低度」外国人材 』や文春オンラインの記事のなかで、豚解体、無免許運転やひき逃げ、同胞間での賭博と拉致、トバシの携帯電話や無車検車両の売買といった一連のボドイ犯罪をしばしば描いてきた。いずれも日本の外国人労働者受け入れ政策の限界と、地方社会の秩序の融解を象徴している話ばかりだ。
 こうした仕組みに積極的に組み込まれるベトナム側の若者には、現地の社会でも決して優秀とはいえない層の人たちも必然的に多く含まれる。判断力や計画性に欠け、場当たり的な行動をする「騙されやすい」人が、わざわざ選抜して輸入されているような側面すらあるからだ。

 

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