岡山市東区 幸島 山南 東幸西

 それはそれは目を見張る光景だった。ただそれが観光地でも景勝地でもない、地元の人しか知らないような場所だから、感動も一入だった。
 薬局を開く9時までに帰ってこなければならなかったので、ちょうど8時に出かけた。片道20分。打合せ時間に10分くらいの時間を見て出かけた。
 感動したのは途中の景色だった。何十年岡山に出かけるときに必ず通る県道から、ある交差点を左折して南下すれば行きつけるのだが、そこを左折する理由が何十年もなかった。
 隣地の古民家を解体してそのあとを利用したいと計画し、そのまた隣地も譲ってもらうための訪問なのだが、道すがら左右に、いや前後にも広大な区画整理された田んぼが広がっていた。
 いったいどこに紛れ込んだのだろうと錯覚しそうだった。まだ見ぬ新潟などの穀倉地帯とはこのような光景なんだろうかと思った。山を後ろに背負う瀬戸内地方にはとても珍しい光景だ。それがもう少しだけ南下するだけで入り江に出るという場所で見られるとは。
 いたるところに大きなトラクターが点在していた。牛窓なんかでは使う土地がない。キャビン付きで、運転席は高く、乗ってみたいなと思った。あの高さから見える景色に思いをはせる。
 この地には昔から僕の漢方薬を飲んでくださる人が多く、とても純朴な人が多いが、その理由が分かった。この空と、この土地と、広い庭付きの大きな家があれば、あのような気質におのずとなるだろう。ヘルメット姿で自転車をこぐ中学生の姿がそのまま絵になる。堤防沿いに植えられた木々さえも大地を祝福している。

 

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