親近感

 岡山駅近くの駐車場は、効率を上げるためか一つ一つの区画が小さい。僕の車は比較的大きいために駐車するのが毎回冷や冷やものだ。
 と言うわけで今日は数百メートル離れたところの比較的スペースが広い駐車場に置いて、駅近くの目的地まで歩いた。時間に余裕がなかったので、いつものように大通りを通るのではなく、なるべく最短距離になるように歩いた。となるといわゆる裏通りを歩くことになるが、当然人通りは少なく、意外と岡山市の中心部でも一本大通りから外れると静かなのだと気が付いた。
 その数百メートルのうちで、それも裏通りで行列が出来ている店があった。行列が出来ている割には、店構えは貧弱で、看板も劣化と言うより、元からお金をかけていないようなもので、下手をしたら視界に入らずに素通りされそうなラーメン店だった。
 しかし人の頭の上しか店舗は見えないくらいの人が並んでいた。小さな店だから隣の家、いやそのまた隣の家まで列は延びていた。そして並んでいるのが見事に若者ばかり。それも圧倒的に男性が多かった。別にラーメン党の僕ではないが、その店を通り過ぎる間に行列の理由を考えてみた。
 当然安いこと。若い男性ばかりだからこってりしていること。そして何より美味しいこと。この要素が整っていたら、こんな言わば場末のラーメン店でも、大通りをしのぐほどに流行るのだと感心した。同じハンディーを何十年も抱えてきた僕は親近感を持った。
 列に並んで食べてみたいと思うほど僕は好奇心が強くないから、素通りしてコンビニ弁当を買って帰ったが、よくよく考えてみると、若い男性たちはほとんど学校の朝礼状態だった。コロナよりラーメン。さすが若者、いたって精神も健康的。