診察室

 この時期、毎年お願いしている内視鏡検査の申し込みに行った。息子が推薦してくれた先生でもう数年、御世話になっている。
 心電図を撮るためにカーテンで仕切られた空間にいると次の患者が診察室に入って来た。僕が待合室で待っている時に看護師に問診をされていた男性だが、久しぶりに胃が痛くなって薬をもらいに来たと訴えていた。症状からし逆流性食道炎ぽいなと感じた。
 その男性は先生の前に腰かけると(見えないからわからないが、さっきまで僕が腰かけていた椅子だ)ほんの少しだけ問診されて診察が終わった。男性は胃が痛い、げっぷが出るくらいを答えただけで、先生は何日分くらい薬がいられます?と尋ね、患者は2週間分くらい出してくださいと答えてすべてが終わった。
 まるで薬局のカウンター越しの会話のように思えた。これなら薬局と同じではないかと感じた。僕も先生の実力は肌で感じ、息子もこの先生にはその地区では唯一勝てない人と尊敬している。そんな先生に対してただ薬を出してと言うにはあまりにも勿体ないように感じた。
 当然以前は胃カメラをして処方を決めていただろうに、久しぶりの受診が痛み止めをもらうため。何とも勿体ない話だ。あのレベルなら薬局でもできる。患者は、症状が復活した理由を伝え、これからの養生などを尋ねればいいと思うのだが、薬欲しさが透けて見える。
 僕は運よく、検査はしてもらうが治療と言うものを今のところ病院でしてもらったことがない。だから診察室の中の様子を知る機会がなくて、偶然垣間見たことがすべてだと、ひたすらもったいないと感じた。まさかあれが標準ではないだろうが、いい患者になることも必要だと感じた。

 

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