期間限定

 薬局の日常でも面白いことは沢山ある。特に僕の薬局のように昔からあり、普通の薬を買いに来る人がいたり、遠路漢方薬を取りに来たり、待ち時間が短いと言うあまり格好良くない理由で処方箋を持ってきたりする人がいたりと、多種多様な方々が来られるから、ネタに尽きない。昨日、処方箋を持ってきた方の話も落語のネタにでもなりそうだ。面白くてかなり笑った。
 もう何年も、同じような内容の処方箋を持ってきているから、治っていないと言うことだが、見ていて病院と薬局の一つの違いは、病院には、効果を感じなくても延々と通うと言うことだろう。薬局に来る人で、効かないのに延々と薬を飲んでくれる人などまずいない。皆さんが独自に設定した期間限定だから、結構シビアな仕事をしているものだとつくづく思う。薬局で効かなければ病院があると、暗黙の避難路があるからだろう。
 それに比べて病院は、「後=最後の砦」だから、そこから次に行きようがないのだ。だから効かなくても皆さん延々と通う。治らないのは自分が悪いのであって、お医者さんが悪いのではないと考えてしまうのだろう。薬局の場合効かなければ、腕が悪いで一蹴されてしまうのが落ちだが、お医者さんには寛容だ。
 この患者さんも何年も頭皮湿疹のために薬を飲んでいるが、効いていないのだろう。
昨日病院の帰りに処方箋を持って来たから雑談していると「今日は、なんぼなんでも先生に頼んだんじゃ」と言うから何を頼んだかと尋ねると「ちっとは診て!」だった。と言うのは先生は一度も患部を見ることなくひたすらパソコンに向かい、そのまま診察を終えようとしたらしい。皮膚科で皮膚を診なくて診察?嘘だろうと思ったが本当らしい。「内科でも同じようなもんじゃ」と言うが、さすがに皮膚科で患部を見ないと言うのは、ありえないだろう。
 それでも患者は病院に行き続ける。もう少し僕が頭がいいか、顔が良ければこうした仕事の境遇に身を置けていたかもしれないのに。

https://www.youtube.com/watch?v=ElrQgg-tRvY