選択

今朝は起きた時から憂鬱。
原因は調剤機械の故障。僕の担当の煎じ薬の機械が昨夜から動かなくなっていた。今朝はかつてのように手作業を覚悟の目覚めだから、気が重かった。
始業前から少しずつ昨夜のうちに届いていた注文を作り始めた。以前はこうして作っていたなと、感傷に浸れる瞬間もあったが、体力の衰えはそんな感傷を一瞬のうちに吹き飛ばす。
 結局昼前にメーカーの方が修理に来てくれた。さすがプロで、故障個所をすぐに見つけてくれ対処してくれた。その中で印象的な会話が一つあった。故障の原因は、センサーの劣化で、あるべきものがない時に作業を中断する指令が出るらしい。安全装置(生薬が無駄になると言う意味で身体に影響すると言う意味ではない)の一つでもある。
 機械がすぐに反応して止まるから調剤が出来なくなるのだが、その対処法を技術者が説明してくれた。二者択一でどちらにしましょうと言うのだが、一つはセンサーを交換する。一つはセンサー自体を取り除く。センサーが本来のように働いても、あるいは元からない状態にしても薬は作れるらしい。後者は、せっかくのセンサーが調剤を邪魔をしていると言う発想だ。彼の先輩が教えてくれた解決法らしい。
 僕は前者を選択した。なんとなく「理論的な手抜き」のように思えたのだ。なくてもいいものなら、最初からない状態にすればいいが、おそらく過去のトラブルを克服するために技術革新で備えられた機能だと思う。機械に全く疎い僕だが、あるべきものまで省く合理性は持ち合わせていない。たとえそれが素人のこだわりだとしても。