意外

 意外にも合っているかもしれない。
 僕には無理だと思っていた。合っていないとも思っていた。それが出来たし、もう4度も自発的に利用したから、合っているのだろう。嫌ならやめるたちだから。
 コロナのせいで、勉強会と言うものがすべてなくなった。岡山県はもちろん、広島、兵庫、大阪辺りなら興味が沸けば出かけて行って勉強することは、僕の楽しみだった。県外をまたぐものはもちろん、県内さえ勉強会は行われなくなったから、知識の補充手段の一つが断たれた。しかし、世の中はすぐに新たな手段を見つけてくれた。それがズームと言う奴だ。
 製薬会社のセールスに説明を受けた時は、講師と対峙した緊張感がない、会場まで新幹線で行く楽しみがないと理由をつけて興味を示さなかった。しかし彼はズームに参加できる方法だけは僕のパソコンに仕組んでくれた。
 2か月くらい前に、なんとなくそれを操作して勉強会に参加した。1時間半の講演だったが、意外とパソコンの前で緊張状態を保つことができた。そのおかげで新たな知識も得られた。以降操作方法がわかったから、案内されていない勉強会も探して、参加してみた。本来なら会場に行くことができないような、東京や北陸の勉強会にも参加できる。知識を得る機会は何倍にも増えることになる。心配していた緊張感は、知識の飢餓状態で乗り越えられた。さすがに、旅の楽しみも兼ねてと言うわけにはいかないが、それを打ち消すだけの価値がある。
 パソコンに関しての徹底した苦手意識を、薬剤師と言う肩書が乗り越えさせてくれたと思う。人様のお役に立てればければ免許を持っている資格はないのだから。
 その上、僕の知識のほとんどを与えてくださった先生が、先日、ズームで講演されたのだから、年下の僕が食べず嫌いでは恥ずかしい。
 僕と同じように、絶対携帯電話を持っていないと思っていた先生が携帯電話を持っていたことに驚いたが、ズームで講演されたのにも驚いた。人間はギャップがあるから面白い。