過激

 昨日の毎日新聞朝刊の3人による座談会で見つけたある件が意外だったので、たいしたことではないかもしれないが披露する。皆さんは知っていたかもしれないし、僕と同じようになるほどと思われるかもしれない。  「・・・日本も若者の不満は政治的に表出しにくい。インターネット上で他者を激しく攻撃する人は、安定した中高年が多いようです・・・」  知らなかった、僕はそうした文章を書く人は特攻服でも着た若者かと思っていた。そう言われてみれば結構知識が豊富でないと書けないなあと言うのが多い。僕ら世代から上は、政治の季節を経験しているから感じるところが多いのだろう。生活が安定している人は、経済的にも社会的にも時間的にも落ち着いているから、意見を発信する余裕があるのだろう。そのどれかが欠けただけでもなかなかパソコンの前に座って、無報酬の営みに気力体力を費やすのは難しい。生活の糧を得ることに必死の人は、人様のことなどかまってはおれないだろう。  僕も正にその時代の人間だから黙ってはおれないタイプだ。ただ僕の場合は根っから強い人たちが苦手で、薬剤師と言う職業柄、病気と言うハンディーを負った人たちとばっかり接するおかげで、権力を行使する人間以外を激しく攻撃するようなことは出来ない。むしろどちらかと言うと、ハンディーを背負い生きている人たちに共感するケースが多い。勉強させられたり感動を与えられたりするから感謝の気持ちを表したいくらいだ。  僕はずっとどうして庶民が庶民を攻撃するのかと思っていたが、実相は、恵まれた庶民が恵まれない庶民を攻撃しているのだ。知識が多い庶民が知識が少ない庶民を攻撃しているのだ。だとしたら、経済的に恵まれず、生きることで精一杯で勉強する暇もない人達は浮かばれない。  僕らの時代は、過激なのは若者だったが、今は違うのだそうだ。この変化だけはきわめて過激だ。