重宝

 「美味しいのを買って来てよ」と言われても、僕にはその知識はない。このところコロナのせいであまり出かけたがらない妻の代わりに、出かけたがり屋の僕が買い物に行く機会がある。1周間に1度くらいスーパーに行っている。
 主に生協の宅配で食料品は買っているから実際にスーパーで買うものは少ない。だからもっぱら頼まれるのがカキとみかん。どちらも鮮度が売り?かどうか知らないが、この2つがもっぱらだ。
 みかんは入り口付近に大量に並べられている。目についたビニール袋入りのものを1つ取り、店の一番奥の鮮魚売り場に直行し、台に並べられた水でパンパンになった透明な袋に入れられた牡蠣を買う。恐らくどちらも置いている場所について1秒くらいで手に取る。これで美味しいものをと言われても困る。そこで時間をかけても何を基準に美味しさがわかるのか知らないから選びようがない。大手のスーパーだから信頼して買っているだけだ。しかし、みかんは美味しくない、カキは水ばかりで数が少ないと、結構不発に終わる。口に入れば大抵のものは我慢で育ってきたから、あまりこだわらない。頼まれたものを買い忘れない、それが何より優先だ。
 今朝「みかんの皮と中身が空いているのは美味しくない」と教えてもらった。今夜買い出しに行くが、いちいちみかんの皮を押さえてみるのだろうか。僕が仕事の後に店に到着できるのが9時前。客は少なくて気持ちはいいが、なんとなく独り者が多いように見える。帰宅途中に寄る人や、値札が半額などと張り替えられるのを待っているような人に見える。僕はどちらでもないが、おそらく風貌からしたら、そのどちらにも見えるだろう。30年前の上が青、下が黒のジャージに30年前の毛むくじゃらのコートだから。30年経っても捨てなければならないほど破れないから重宝している。そんな、まるでつまみ食いのような服装でみかんの皮を次から次に押していたら、捕まるのではないか。

 

ここからはプロの文章
菅首相、国民より二階幹事長を向いた“忖度発言”の数々 Go Toに550億円お詫び予算も
 2021/01/27 07:05
菅義偉・首相の発言を振り返ると、二階氏への“忖度”発言も多い© NEWSポストセブン 提供 菅義偉・首相の発言を振り返ると、二階氏への“忖度”発言も多い
 菅義偉・首相はコロナ対策に「先手、先手を打つ」と強調しているが、実際には後手後手に回っていることは誰の目にも明らかだ。感染拡大は止められず、あちこちで医療崩壊が現実のものになっている。そうした菅首相の政治判断に大きな影響力を持つのが“後見人”の二階俊博・幹事長である。
 二階幹事長はGo Toキャンペーンを推進した「観光業界」のドンであり、出稼ぎ労働者を多く受け入れている「農業団体」にも強い影響力を持つ。
菅首相の発言を振り返れば、国民より二階氏に顔を向けた“忖度”発言も多い。
【菅語録】「悩みに悩んでGo To止めた」
Go Toキャンペーンの一時停止を表明した夜、菅首相は二階氏に呼ばれて8人の“ステーキ会食”に出席し、批判を浴びた。本来なら総理を招いた二階氏が釈明して詫びる立場のはずだが、なぜか菅首相が二階氏に代わって謝罪した。「他の方の距離は十分ありましたが、国民の誤解を招くという意味においては、真摯に反省いたしております」
 Go Toの一時停止についても、「私自身悩みに悩んだ結果として全国一時停止を表明いたしました」(昨年12月24日の講演)と語り、さらに今後に向け、「国が前面に出て、ホテル、旅館、街の再生を行なうために、今回の補正予算で550億円の新たな補助制度を創設します」と“お詫び予算”までつけた。
 菅首相がこの間のコロナ対策で本当に「悩みに悩んだ」のは二階氏の顔を潰すことになるGo To停止だけだろう。
【菅語録】「全世界から外国人の新規入国者の停止」の嘘
 二階氏のためなら“嘘”も厭わない。「全世界から外国人の新規入国者の停止を発表させていただきました」昨年暮れも押し迫った12月28日の会見で菅首相はそう語った。しかし、中国、ベトナム、タイなど11か国のビジネス往来は止めていなかった。政治アナリスト・伊藤惇夫氏が語る。「官邸は当初、全面的に入国を禁止するつもりでいた。しかし、ベトナムや中国から日本に入国する研修生など出稼ぎ労働者を止められたら経済界が困る。だから11か国には開放したといわれている。そうだとすれば官邸は統治能力を失っている」この判断の背景にも中国との経済交流を止めたくない二階氏への配慮があったとみられている。しかし、最終的には1月13日に全面停止に追い込まれた。その日の会見で「もっと早く停止すべきだった」と指摘されると、菅首相は、「ビジネス往来の入国者に変異株の感染が確認された事例はなかった」と言い張ったが、水際作戦は新型コロナを防ぐためのものだ。「変異株」だけを問題にするのは論理のすり替えだ。伊藤氏が指摘する。「今回の緊急事態宣言は、飲食店、外食産業がターゲットとなっています。菅さんはGo To トラベルについて、感染が広がるエビデンスがないとしきりに強調していたが、飲食店で感染がとくに多いという明確なエビデンスもない。一貫性がなく、業種によって扱いが違う。そもそも政府のコロナ対策の全体像がないなか、Go Toトラベルなど人の移動で拡大した責任を飲食に押し付けたように見えてしまう」
身勝手な理屈で国民に制約を強いる菅・二階政治は国民にとってコロナに劣らない“厄災”だ。
週刊ポスト2021年2月5日号

 

https://www.youtube.com/watch?v=mBaPC6ait4o