手玉

 正確な単語を使って表現できるかどうか自信はないが、気になっていることがあるから書く。
 ずっと疑問に思っていたことだがやはり実際に起こりうることで、問題になりつつあることが分かった。まんざらド素人の懸念も馬鹿にならない。
 今や何でもカード決済。カードには暗証番号がいると思うのだが、持ち主が死んだらどうなるのだろう。家族がいれば、いや家族がいてもその番号がわからないから、死亡後も色々なものが引き落とされるらしい。もしそれが貯金だったらどうなのだろう。紙の通帳なら一目瞭然で分かるが、もしそれがカードだけで、通帳の代わりがパソコンの中だったりしたら。貯金をしていることすら残されたものには分からないのではないか。となるとそれは全部銀行のもの?あるいは、口座を開設していることを知っている銀行の担当者のもの?
 例えばこうして僕は毎晩拙文を書いてインターネット上で公開しているが、この文章は僕が死んだらどうなるのだろう。僕の家族がすべて抹消してほしいと言うまで、インターネットの中で生き続けるのだろうか。そして今まで書いたものすべてを、世界から完全に消すことができるのだろうか。
 このインターネット空間の中にはもう無限大の言葉などが浮かんでいる。あたかも銀河の中の星のように、あたかも宇宙を浮遊するゴミのように。それでもそれらを狙い撃ちにして存在をなくすることができるのだろうか。
 必ず書き残しておかなければならないものを、そろそろ、まだ頭がすんでいないときに整理しておかなければならない。なけなしのものまでいわゆるカード会社や銀行や自治体などに持って行かれてはたまらない。いろんな意味で手玉には取られたくないのだ。