当たり前

 シャッターを開けて1分もしないうちにツバメがやってきた。きっと見えるところにいて待ってましたとばかりに巣を目がけてやって来たのだと思う。去年卵を産んだツバメか、巣立ったツバメか分からないが、恐らく我が家と縁があるツバメだろう。さもないとこうしてあたかもそこに巣があるのが分かっているかのように一目散に飛んではこれないだろう。それにしてもどうしてあの小さな頭でそんなことが出来るのだろう。人間と同じように物事を記憶できるのだろうか。1年前に、数ある家々の中から我が家を選び、南の国に帰っていた鳥がどうして又同じ家を見つけることが出来るのだろう。人間ですら、こんなに大きな脳みそを持っていて、例えば知らない土地のある家を訪ねろと言われても迷ってしまうのに。比べものにならないくらいの小さな脳で何故そんなことが出来るのだろう。  この不思議もインターネットの中に答えはあるのだろうが、それを敢えて見つけようとは思わない。ふとした切っ掛けで会話の中で解決できればそれはそれでいいが、敢えて正解を求めようとは思わない。不思議のままとっておきたいようなテーマだ。  一方こちらの不思議は決して未解決のままとっておこうとは思わない。放射能をまき散らした人間が政権に返り咲いたり、意図的に作り出した景気を利用してますます幸せを享受するのに、土地を奪われ仕事を奪われ、家族を奪われ、安全な食べ物すらを奪われた人達が手を貸す不思議を。僕は決して許せないが、多くの人達が、いやほとんどの人達が許す不思議を未解決のまま置いておきたくない。早いうちに罪人達が断罪される「当たり前」を見たい。