地の利

 関西弁で「儲かっていますか?」なんて尋ねられると下品な感じがするが、この女性が言ったのはそう言った意味ではない。 煎じ薬と粉薬を飲んで頂いているが、今回は粉薬が大きく余ったから煎じ薬だけ送ってと電話の中で出た言葉だ。煎じ薬が余るのは良くあることだが、たまにこの様に飲みやすい粉薬を余らす方がいる。それはさておいて、この方が儲かっているかと尋ねたのは、利益をとってもらっていますかと言う意味なのだ。恐らくその方が他の薬局を利用したときの経験から出た言葉なのだろうが、勿論僕も奉仕をしているわけではないので、それなりに利益は頂いている。ただその方が心配してくれたように、多くの利益を頂くようにはしていない。何度も書いたが、わざわざ田舎の薬局に連絡を取ってくれる人達は、何をやっても効果がなかった人ばかりだから、治すのに難しい人が多い。だから僕は、何とかして効果を感じて欲しいと力んでしまう。いわばやる気満々にしてくれる人達ばかりなのだ。だから僕は、その方達が経済的な負担なく挑戦してもらえる金額を設定している。  儲けなどなくてもといつか言えるくらい経済的な余裕が出来たら、それこそ奉仕してみたいが、そんな経済的な幸運には縁遠い。だから少しでも僕の手数料を削って生薬の方に回したい。田舎に住んでいたら無駄なものを買う機会なんてないからそんなことも出来る。これを地の利とは言わないか。知の利でもないし・・・いや僕だから痴の利だ。