年賀状 第2弾

 年賀状編 第2弾
 義理チョコならぬ、義理年賀状をくれたもう一人の先輩。なんて勇気をくれる人だろうと思う。年賀状を読んだ後、いや読みながら笑ったが、そのあとは何とも言えぬ安ど感が僕を支配した。先輩は意図して書いたのではないが、思いもかけぬ脱力感を僕に与えてくれた。
 あけましておめでとうの定番の後「年々腰痛は強くなり歩行困難で苦しんでおります。医者の診立ては一定せず、手術で完治する保証もなく、鍼灸が一番効きます。普通に歩けることがなんと幸せか、そんな毎日です」
 先輩と言っても同じ年だ。向こうは現役で入って、僕は1浪だ。途中同級生になり、でも最後は1年前に卒業した。僕の関係する先輩後輩は、まともに卒業できる人は少なかったからややこしい。そう言ったことがすこぶる多い大学だった。まともに卒業するなんて恥ずかしくてできないくらいの時代だった。
 それはさておき、皆さんに勇気を差し上げよう。先輩、許して!
 実はこの年賀状をくれたのは医者だ。薬科大学を卒業し、病院で薬剤師として働いていたが、そこで起こった不運を逆手にとって医者になった人だ。僕らは100%本音で、何ら修飾しない言葉を往来させるから、先輩のいまの身体的な状況がよく伝わってくる。いわば医学のトップに君臨する職業の人だって、よる年には勝てないのだ。僕も腰首背中と痛いところをいっぱい抱えて仕事をしているが、先輩の年賀状を見て「仕方ないのか」と妙に受け入れられた。なんとか克服して1日14時間仕事を続けようと懸命にもがいていたが、もう無理なのだ。悲鳴の大きさに打ちのめされていたが、その悲鳴を受け入れ、年相応に振舞うしかなく、それを悔やんだりしないこと。そう先輩が教えてくれた。
 これを読んでいる若い方、今のうちに、すべて今のうちに。悩んでいる時間などもたいない、もったいない。