越冬

 昨日お昼頃、60代のお嫁さんと、その姑が薬を取りに来た。左腕と左の首辺りに発疹がたくさん出ていた。二人は虫に刺されたと言って塗薬を求めにやってきたのだが、僕には虫にやられたようには見えなかった。そもそもこの季節に虫はいないだろうと言いながら、はたと思いだした。
 まさに数日前からハエが一匹飛んでいるのだ。12月にハエが飛んでいる光景を見た経験はないが、1匹だけ悠々と数日間我が家で過ごしていた。なんとなく殺すのも忍び難かったのでそのままにしていたが、調剤室の方にも入ってき始めたので仕方なくキンチョールであの世に一直線。 
 そのことを考慮しながらも、常識的に「この季節に虫はいないでしょう」と言うといとも簡単に否定された。と言うのがおばあさん曰く「昨日の夜、蚊が飛んでいて寝れなかった」らしい。そのことをお嫁さんにも家で話したらしい。その上農家のお嫁さんは「最近はバッタもキャベツの葉っぱの中で越冬しとるよ。だから冬でも虫はおるわ」と教えてくれた。
 家の中なら暖房で、まるで春から夏のような環境を人工的に作り出していることは分かるが、戸外で、この寒い冬を生き延びる虫がいるのかと、にわかには信じがたかったが、毎日畑に出ている人が言うのだから事実だろう。地球温暖化の影響なのだろうか。自然の摂理が崩壊し始めている。
 先ほどウォーキングをしようと中学校のテニスコートに出かけたが、それこそ身の危険を感じるくらい寒くて帰ってきた。風もないのにしんしんと冷えている。今夜は水が凍りそうだ。戸外の水道の蛇口を少しだけ緩めておいた。
 氷点下の夜、越冬の虫たちの命やいかに。国会と言うキャベツに巣食う汚部やカスの越冬は許すまじ。キンチョールで葬送の歌。