やたら

 明らかにいつも目撃する鳥と違っていた。雀を一回り大きくしたくらいだが、色つやが違う。羽の色彩から感じたのかもしれないが、光沢があった。茶色を基調にしているが、その上に緑がかったところがある。ここまで言うと何の鳥か分かる方もおられるのかもしれないが、僕はいまだ分からない。
いま少し時間をとってインターネットで調べてみたが、これはむつかしい。数秒のめぐり逢いだったから印象くらいしかなく、写真を見て同定できるほどの記憶力はない。
 バードウォッチングをやっている人なら一瞬にして判別できるのだろうが、日本人と中国人や韓国人、果てはベトナム人と区別するよりはるかに難しい。やたら遠くの人間同士が大声で話していたら中国人。東洋人の顔をしてやたら巨体は韓国人、やたら白い靴を履いて外股で歩くのはベトナム人。このくらいで十分判別はつくが、大きさ、色合い、鳴き声、行動などの要素満載の鳥は「分からん」
 だけど、僕の毎朝の決まった行動が彼らに安心感を与えているのか、どんな種類の鳥も結構接近させてくれる。テニスコートに沿って歩くから僕の動きが予想できるのか、「逃げる必要がない」という判断を多くの場面で下しているように感じる。
 意思の疎通ができるわけではないのにやたら親近感を鳥たちに持ってしまうのは、人と接するばかりの僕の職業の孤独?